東京ガス、ポルトガル浮体式洋上風力発電事業に初参画
東京ガス株式会社は、海外の浮体式洋上風力発電事業に新たに参加することを発表しました。このプロジェクトでは、ポルトガルの「ウインドフロート・アトランティック」発電所を運営するウインドプラス社への投資を行います。売主であるオーシャン・ウインズ社との合意により、東京ガスは2020年に出資したプリンシプル・パワー社の共同株主として本事業への参画を果たすこととなります。
ウインドフロート・アトランティックは、商用運転中の浮体式洋上風力発電所の中でも特に規模が大きく、1万kW級の大型風車を搭載した数少ない施設の一つです。この発電所では、技術成熟度が高いプリンシプル・パワー社の「ウインドフロート技術」が採用されており、立地条件や気象悪化にも柔軟に対応できる設計がされています。具体的には、最大波高20m、最大瞬間風速38.8m/sという条件下でも稼働している実績があります。
東京ガスは、この新たな事業参画を通じて浮体式洋上風力発電の運用経験を蓄積し、特にデジタル技術や次世代技術を活用した先進的な運用管理(O&M)手法の導入を目指しています。日本周辺の水深が深い海域での風力発電拡大が期待される中、このプロジェクトファイナンスを基にした信頼性の高い技術を国内に導入することで、浮体式洋上風力発電の実現を加速し、関連産業の活性化とカーボンニュートラル社会の実現に寄与することが期待されています。
プロジェクトへの意気込み
東京ガスの代表執行役副社長である木本憲太郎氏は、オーシャン・ウインズ社との事業参画を通じて、さらなる協力関係の強化を期待しているとコメントしています。特に、浮体式洋上風力の国内大規模商用化に向けた取り組みを進めていく意向を示しました。
一方、オーシャン・ウインズ社のCEOであるクレイグ・ウィンドラム氏は、東京ガスとのパートナーシップを歓迎し、共通の目標に向かって強力で持続可能な産業の構築を目指していく意義を強調しています。このような共同作業を通じて、日本における浮体式洋上風力の進展と再生可能エネルギーの導入目標の達成に貢献し、環境に優しいエネルギー構成の実現を目指す姿勢が示されました。
ウインドフロート・アトランティックの概要
ウインドフロート・アトランティックは、ポルトガル北部のヴィアナ・ド・カステロから約20km沖合に位置する浮体式洋上風力発電所で、発電容量は2.5万kW(0.8万kW×3基)に達します。2020年7月から商業運転を開始しており、売電はFIT制度を利用しています。このようなプロジェクトの成功事例は、今後の日本における浮体式洋上風力発電の導入においても重要な示唆を与えるでしょう。
東京ガスの新しい挑戦は、国内外のエネルギー市場での競争力を確保するだけでなく、グローバルなエネルギー移行を促進する一助となることでしょう。今後、どのような成果をもたらすのか、注目が集まります。