宮崎県綾町の成果:自然共生サイトの認定
2023年度、宮崎県東諸県郡綾町の「綾町イオンの森」とその隣接地である「割付地区の日向夏畑」が、環境省から「自然共生サイト」に認定されました。この発表は、町長である松本俊二氏と公益財団法人イオン環境財団の岡田元也理事長の協力によるものです。
「自然共生サイト」とは、生物多様性を保全するために民間の取り組みによって保護される区域を指します。日本国内でも、企業による環境保全活動の重要性が高まり、環境省が新たにこのプログラムをスタートさせました。今回、認定を受けた区域は、今後国際データベースにおいて「OECM」(外的効果的保全管理手法)として登録される事が期待されています。
綾町の自然環境と保全活動
綾町は、広大な照葉樹林に恵まれた地域であり、この自然環境は2012年にユネスコエコパークに登録されたことでも知られています。イオン環境財団は2013年に地域の植樹活動を始め、森づくりに注力しています。特に、2017年からは国際基準に基づいた持続可能な森づくりが実施され、多くの生物が生息する場として発展してきました。
10年以上の歳月を経て、植樹されたヤマザクラなどの樹木は、地域の環境教育や伝承文化の学び舎としても機能しています。この森では、生物多様性の調査や炭素の蓄積を測定する活動、さらには地域住民向けの草木染め体験などが行われ、地域との強い結びつきを築いています。
受粉媒介の役割と地域の相互関係
今回の認定に際しては、「綾町イオンの森」に植えられた花木がニホンミツバチなどの受粉媒介昆虫を育むこと、またそれが隣接する日向夏畑に豊かな実りをもたらしている点が評価されました。このように、自然環境の保護活動が地域の農業生産に寄与している様子が伺えます。
さらに、この認定されたエリアは国の定めた「移行地域」に属し、人間活動と自然環境が調和しながら持続可能な発展を推進するための取り組みが進められています。今後は、地域における生態系サービスを支える生物多様性の保全に注力し、新たな価値の創造に向けた活動が期待されています。
協力の重要性
綾町のこの取り組みは、単独の活動ではなく地域の様々な関係者が協力し合って行われています。イオン環境財団と地域住民、行政が一体となり、生物多様性保全の重要性を広め、その成果を地域全体に還元する意義を追求しています。これからも綾町がこの活動を通して新しい未来を切り開いていくことが期待されています。