アイコム株式会社、無線通信事業を進化させる取り組み
アイコム株式会社は、大阪市を本拠地とし、無線通信機器の分野で長年にわたり革新を続けてきました。同社は現在、「中期経営計画2026」に基づき独自の無線通信技術を進化させることを目指し、他社との協業にも力を入れています。この計画では、無線機事業のさらなる拡大を図るための具体的な施策が進行中です。
中期経営計画2026の目標
2024年3月期から始まった「中期経営計画2026」では、売上高380億円を目指し、営業利益率は10%を設定しています。特に注目すべきは、2024年3月期決算で371.1億円の売上高を達成したことであり、これにより2026年3月期の目標を400億円に上方修正することが発表されました。ここ数年、円安やストックビジネスの成長も手伝い、同社の業績は好調を維持しています。
ストックビジネスによる安定収益
アイコムは、継続的な収入を生み出すストックビジネスを重視しています。特に、携帯電話の通信網や衛星回線を活用した無線機の利用料は安定した収入源となっています。特にIP無線機は、その利便性から需要が増加しており、今後も成長が期待されています。2025年3月期の決算では、目標を大きく上回る売上を記録しています。
新たな市場への参入
アイコムは、目前の「第61期株主総会」で発表したように、新市場であるMC-PTTへの取り組みを行っています。MC-PTTとは、公安機関が使用するLTE無線網を指し、特に海外での導入が進んでいる分野です。MC-PTTは、既存の公安用無線通信システムとの統合が進むと予想され、アイコムはその技術力を活かすべく準備を進めています。
10年以上にわたるIP無線機やネットワークに関するノウハウを持つアイコムは、PTT通信アプリ関連の専門企業とも協力し、特にMC-PTT向けに強化された製品開発を進めています。
イリジウム社との協業
また、アイコムは米国のイリジウム社との協業により、衛星通信無線機市場でも成功を収めています。このパートナーシップは約7年続いており、国際機関や災害時の通信手段を求める企業など、幅広いユーザーに支えられています。イリジウム社は、アイコムが米国国防総省の次世代通信インフラ開発における技術パートナーとしても参画していることを発表しています。
中長期的な展望
アイコム株式会社は、今後も新たな技術革新を進めながら、他社との協業を通じて新しい価値を創造し、企業価値の向上を目指しています。無線通信業界の変化に対応し、成長を続けていく姿勢は、同社の今後の展開に期待を持たせます。