昆虫飼育自動化の挑戦
2024-09-20 12:38:46

養殖魚の未来を切り開く昆虫飼育自動化の取り組み

養殖魚の未来を切り開く昆虫飼育自動化の取り組み



近年、持続可能な養殖魚の供給が求められていますが、エサの価格高騰や輸入依存度が高いこと、そしてサプライチェーンの脆弱性が悩ましい課題となっています。そこで注目されているのが、養殖魚の飼料として利用できる昆虫、特にミールワームの自動飼育です。これに取り組むのが大日本印刷株式会社(DNP)と国立大学法人愛媛大学です。両社と新菱冷熱工業株式会社の共同研究により、2024年9月20日に愛媛大学の実験室でミールワームの自動飼育を実現する原理試作機が稼働を開始しました。

ミールワームとは


ミールワームは、チャイロコメノゴミムシダマシの幼虫で、高い栄養価と繁殖能力を持ち、雑食性であるため、養殖魚の飼料として非常に適しています。DNPと愛媛大学は2023年8月から、このミールワームの飼育工程を自動化し、効率化するための研究を進めてきました。今回の試作機の成果をもとに、2025年度には年間10トンの養殖魚用飼料粉末の生産を目指しています。

自動飼育装置の特長


今回完成した原理試作機には、以下のような特長があります:

  • - 人工気象器: 温度、湿度、照明を調整することで、ミールワームが最適に成長できる環境を提供します。
  • - 自動給餌・給水装置: 定期的にエサと水を自動で供給し、飼育作業を省人化することで、多様な事業者でも均一な飼育環境を実現します。
  • - 選別装置: ミールワームと糞を効率よく選り分け、成長段階に応じた適切な選別を速やかに行うことで、生産効率を高めます。

自動飼育の背景と意義


持続可能な養殖業には、エサの供給が鍵を握っています。特に、ミールワームはその栄養価の高さや繁殖能力によって、エサの安定供給に貢献できる可能性があります。今回の取り組みは、課題解決の一助とし、養殖魚のエサ供給の自給自足を目指しています。

今後の展開


将来的には、DNPと愛媛大学はこの自動飼育装置の量産化を目指し、2025年度中に生産施設を設ける予定です。さらに、2027年度には年間100トン、2028年度には年間1,200トンの飼料用粉末の生産を目指しており、昆虫プロテインとしての利用が拡大することが期待されています。

このように、DNP・愛媛大学・新菱冷熱工業が取り組む昆虫飼育の自動化は、持続可能な養殖産業の実現に向けた重要なステップです。これからの成果に期待が寄せられています。


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会社情報

会社名
大日本印刷株式会社
住所
東京都新宿区市谷加賀町1‐1‐1
電話番号

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