ロッテ創業者論
2022-02-01 12:00:09
経営者としての挑戦と失敗を学ぶ『ロッテ創業者論』の深層
経営者としての挑戦と失敗を学ぶ
2月1日に出版された松崎隆司の著作『経営者交代 ロッテ創業者はなぜ失敗したのか 【続】重光武雄論』は、日韓両国で巨大全国規模の企業グループを築き上げた重光武雄(辛格浩)氏のビジネスの在り方を深掘りしつつ、事業承継の難しさと教訓を提示しています。この本は、前作『ロッテを創った男 重光武雄論』の続編であり、企業家の足跡とその後の事業承継の道のりをたどります。
失敗の背後にある葛藤
重光武雄は、次世代に事業を引き継ぐために30年間もの長い期間を掛けて準備を進めていました。しかしながら、晩年に起こった予期せぬ障害がすべてを覆してしまいました。著者は、この「欠陥」が何によって生じたのか、なぜ防ぐことができなかったのかを問いかけています。この問いは、多くの経営者が直面する難題に通じるもので、多くの人が共鳴できる部分があります。
本書には、「ロッテと同じ轍を踏まないための7つの教訓」がまとめられており、実用的な事業承継の指針として位置づけられています。経営者の使命である事業の継続と承継は、決して簡単なものではなく、その難しさが本書には明記されています。
プロローグと目次
本書は、プロローグからはじまり、「資本再編」「対照的な2人の息子」「百鬼夜行の取締役会」などの目次が各章を彩っています。特に、重光家の取締役会での葛藤や、父と息子の関係がどのように動いていったかを描写した部分は、経営者や後継者にとって共感を呼ぶ内容です。
経営者のリーダーシップ
重光武雄は、リーダーシップの重要性を身をもって示した人物です。しかし、彼の強い意志やリーダーシップであっても、事業承継という難しい課題に直面した際には無力であったことを示しています。著者は、経営者としての願いや父親としての愛情がどのように交錯するのか、その相剋が失敗を生んだ要因の一つであると述べています。
重光氏の体験から導かれる教訓は、後継候補を育てる経営幹部にとっても貴重な資料となり得るでしょう。本書は、事業承継の盲点を明らかにし、経営資源の活用方法についての指針を提供しています。
著者紹介と書籍情報
松崎隆司は経済ジャーナリストとして経済専門の出版社やコンサルティング業務を経て独立した経歴を持ち、今作のような企業経営やM&Aについても豊富な取材経験を持っています。彼の著書には、経済事件や企業破綻の現場を描いたものなどが多くあります。
『経営者交代 ロッテ創業者はなぜ失敗したのか』は、本格的な経済書であり、事業承継に関連する問題を理解するための優れた一冊です。皆さんもぜひ手に取り、多くの経営者の悩みを理解する手助けにしてみてはいかがでしょうか。この記事が、その一歩となれば幸いです。
会社情報
- 会社名
-
株式会社ダイヤモンド社
- 住所
- 東京都渋谷区神宮前6-12-17
- 電話番号
-
03-5778-7200