水電解セルスタック評価システム「ALDAS-E」受注の意義
長野県上田市に本社を置く日置電機株式会社(HIOKI)は、一般財団法人電力中央研究所(電中研)向けに水電解セルスタックのインピーダンス計測システム「ALDAS-E」を受注しました。2025年11月の納品予定であるこのシステムは、水素社会の実現に必要不可欠な研究開発機器として注目されています。テクノロジーの進展が求められる中、HIOKIは持続可能な社会の実現に向けて邁進します。
近年のカーボンニュートラルへの関心
近年、地球温暖化に対する危機感が高まる中で、世界中でカーボンニュートラルの推進が急速に進んでいます。その中でも「水素」は、再生可能エネルギーを利用したクリーンエネルギーとして大きな期待を寄せられています。特に、CO2を排出しない「グリーン水素」は脱炭素社会の実現に向けたキー技術です。
水素製造に欠かせない技術が「水電解」です。日本はこの技術において世界的な優位性を誇っていますが、実用化に向けた大型水電解装置の評価技術は未だに確立されていません。
新しい計測システム「ALDAS-E」
HIOKIが開発した「ALDAS-E」は、電解セルおよび電解セルスタックのインピーダンスを計測するシステムであり、特に大電流条件下での測定を可能にしました。この技術は、電力中央研究所が実施しているNEDO委託事業「高温水蒸気電解評価解析プラットフォームの技術開発」において重要な役割を担います。
電中研の浅野浩一上席研究員は、「ALDAS-E」が実用レベルでの電解セルスタックの交流インピーダンス測定を可能にし、精度の高い測定が行えることを称賛しています。これにより、特別な追加設備なしに水電解装置を身近なものにすることが可能になりました。
「ALDAS Method」による評価技術
「ALDAS-E」には、HIOKIがリチウムイオン電池やパワーエレクトロニクスの分野で培った先進的なインピーダンス測定技術が採用されています。この新しい技術により、今まで難しかった水電解セルスタックの正確な評価が可能になります。
また、「ALDAS-E」は広範囲の電圧・電流条件での測定が行え、実際の運転条件下での細かな特性評価や劣化診断も実現します。このシステムはSDGs(持続可能な開発目標)の実現に寄与し、持続可能な社会への道を切り開くものです。
まとめと今後の展望
HIOKIは、年間を通じてさまざまな製品やサービスを通じて、様々な業界での安全で効率的なエネルギー利用を推進しています。「ALDAS-E」を通じて水素社会の実現に貢献し、環境問題に悩む我々に一条の光をもたらす事が大いに期待されます。今後の技術革新と業界の動向に注目が集まる中、HIOKIのさらなる挑戦に目が離せません。