円安と日銀の利上げ観測が加速させる、子どものための金融教育
近年、円安や日銀による利上げ観測が相次ぐ中、子どもたちへの金融教育の重要性が見直されています。この状況を反映してか、キッズ・マネー・スクールを展開する一般社団法人日本こどもの生き抜く力育成協会では、2024年1月から10月までの開催依頼が前年同期比140%増の500件を超える盛況ぶりを見せています。
この急増の背景には、為替変動への関心の高まりや、キャッシュレス化の進展、そして若年層による犯罪事件などが挙げられます。保護者たちは、幼少期からお金の価値を理解させ、将来社会を生き抜くための基礎を築かせたいという強い願望を抱いていると言えるでしょう。
家庭では難しいお金の教育、専門機関への期待
金融広報中央委員会が発表している金融リテラシー・マップでは、小学校低学年では「ものの価値の理解」「お金の大切さ」といった基本的な概念、中学生では「家計管理」「金融・経済の基本的役割」といった理解が求められています。しかし、実際には多くの保護者が「具体的にどのように教えたら良いのかわからない」「自分自身が十分な知識を持っていない」といった悩みを抱えています。
特に、円安進行や株価変動といった複雑な経済現象を子どもに理解させること、現金に触れる機会の減少といった課題も浮き彫りになっています。専門的な知識を必要とする金融教育を、家庭だけで行うことの難しさが改めて認識されています。
キッズ・マネー・スクール:楽しく学べる金融教育
キッズ・マネー・スクールでは、8歳から12歳向けに「はじめての投資」、7歳から12歳向けに「うらしまさんも驚いた!便利なお金」といったプログラムを提供しています。「はじめての投資」ではゲームを通して投資の仕組みを分かりやすく解説。投資を「企業を応援すること」と捉えさせ、身近な商品を作る企業への関心を高めます。「うらしまさんも驚いた!便利なお金」では、クレジットカードや電子マネーといった電子決済をテーマに、お金の正しい使い方を楽しく学びます。
参加した子どもたちからは「投資がわかった」「お金を大事に使おうと思った」といった感想、保護者からは「教え方が参考になった」といった声が寄せられています。
未来を見据えた金融教育の普及
政府は、2028年度末までに金融経済教育を受けた人の割合を7%から20%に増やす目標を掲げています。キッズ・マネー・スクールは、この目標達成に貢献すべく、コンテンツの拡充や、年末年始のお年玉の使い方講座なども企画しています。すでに多くの申し込みがあり、追加開催を求める声も寄せられているようです。
今後、キッズ・マネー・スクールのような、子どもにも分かりやすく、楽しく金融教育を提供する機関の役割はますます重要になっていくでしょう。