日本企業の人事戦略の現状と課題：『日本の人事部人事白書2024』が明らかに

株式会社HRビジョンが運営する『日本の人事部』は、人事正会員を対象にした大規模な人事実態調査の結果をまとめた『日本の人事部人事白書2024』を発行しました。この白書は、6678社の回答データに基づき、全国の企業人事が抱える課題や、戦略・施策の現状を詳細に分析しています。

人材マネジメントの重要性が高まる中、企業は様々な課題に直面しています。 本白書では、タレントマネジメント、シニア活用、採用、育成、評価、賃金、ダイバーシティ＆インクルージョン、働きやすさ・働きがい、組織開発など、人・組織に関わる幅広いテーマを網羅。各分野の専門家による解説と提言も収録されており、企業が抱える課題解決の糸口を探るための貴重な資料となっています。

主要調査結果

1. タレントマネジメントは重要視されているものの、実践には課題も

調査結果によると、タレントマネジメントの重要性を「大変重要である」または「重要である」と回答した企業は約8割にのぼりました。これは、労働力人口の減少や人材の多様化が進む中で、人的資本を最大化する手段としてタレントマネジメントが注目されていることを示しています。しかし、実際にタレントマネジメントを効果的に実施できている企業は多くありません。

2. 管理職へのサポート不足が深刻化

管理職に対してサポートを実施しているかを聞いたところ、「実施していない」が約5割を占めました。特に従業員規模が小さい企業では、管理職へのサポートが不足している傾向が見られます。管理職は、従業員の育成やチームのパフォーマンス向上に重要な役割を担うため、適切なサポート体制の構築が急務です。

3. AI人材不足は深刻な状況

AI人材の充足状況について、「足りていない」と回答した企業は約6割でした。AI技術の進展に伴い、AI人材の需要は高まっていますが、供給が追いついていない状況です。企業は、AI人材の育成や確保に積極的に取り組む必要があります。

4. 初任給は上昇傾向だが、格差も拡大

2023年度に入社した正社員の初任給は、5年前と比べて上昇傾向にあることがわかりました。しかし、企業の業績や業界によって初任給の格差が拡大していることも明らかになりました。