10月5日、広島ホームテレビはドキュメンタリー番組『きょうも0人 ~芸備線 無人駅の守りびと~ 1時間版』を放送します。本番組は、地域の無人駅が抱える存廃問題に焦点を当て、その未来がどのように影響されるのかを探ります。
無人駅の存在は、ただ単に乗客を運ぶだけでなく、地域の文化やコミュニティの結びつきを象徴しています。しかし、近年の赤字運営や交通手段の多様化により、存続の危機にさらされています。番組では、広島県の芸備線に焦点を当て、その沿線にある無人駅の”守りびと”たちの思いと、彼らが直面する現実を描写します。
番組の主人公は、約40年にわたり無人駅で切符の販売を行っている林嘉啓さんとその妻、千鶴さんです。彼らは、駅前に小さなスーパーを営みながらも、訪れるお客さんに温かく接し、日々の営みを支えています。しかし、廃線の可能性が報じられるにつれ、観客の数は減少の一途をたどっているのが現状です。林さんは「無くなると寂しい」と語り、地元の人々の気持ちを代弁しています。
夏には廃線の危機が報じられる影響でお客が増えたものの、彼らの心にある課題は消えることなく、再構築協議会という地域の存続をかけた議論も始まっています。この協議会は、初めて全国的に設置されたもので、地域の人々や鉄道会社、公共団体が手を取り合い、今後の方向性を協議する場です。
番組では、林家の一年半にわたる日常を追いながら、再構築協議会の議論を通じて芸備線の未来がどう変わっていくのかを映し出します。彼らの視点からは、無人駅が地域にどのように根付いているのか、また無人駅としての役割や価値は何かといった問いが浮かび上がります。
さらに、地域の高校生たちもこの存廃問題に関心を寄せ、彼らなりの考えや行動を起こす様子も紹介される予定です。地域の未来を決定づける大切な時期に、若い世代の関与がどのように進むのか、目が離せません。
このドキュメンタリーは、ただの映像ではなく、地域の人々の思いや生活が凝縮された作品です。放送後には見逃し配信も行われ、広島の声が全国に伝わる一助となることでしょう。