2025年12月12日、株式会社ICT総研(東京都中央区)は関西地方の5G通信速度に関する実測調査の結果を発表しました。この調査は、過去に行われた他の地域の調査に続き、関西の地域を対象としたもので、京都、大阪、兵庫、滋賀、奈良、和歌山の2府4県において行われました。
調査対象となった通信事業者は、NTTドコモ、au(KDDI)、ソフトバンク、楽天モバイルの4社で、測定に使用された端末はGoogleのPixel 7aです。測定は、各地点での下り(ダウンロード)および上り(アップロード)速度を3回ずつ計測し、さらに遅延時間(レイテンシ)も記録しました。測定地点は、関西地方の主要なランドマークや駅、大学など全108地点です。この調査は2025年11月8日から22日の期間で行われ、特に朝夕のラッシュ時間帯は避け、閑散時間に実施されました。
この調査結果によると、全108地点の下り通信速度ではauが172.6Mbpsで最も速く、その後にNTTドコモの170.5Mbps、ソフトバンクの167.4Mbps、楽天モバイルの48.9Mbpsが続きました。全体の平均は139.9Mbpsであり、関西地方では大手3社間の速度差が比較的小さくなっています。府県ごとに見ると、京都府ではauが最も速く、大阪府と和歌山県ではソフトバンク、兵庫県、滋賀県、奈良県ではNTTドコモがトップの結果でした。
また、上り通信速度に関しては、ソフトバンクが31.7Mbpsでトップを獲得し、auが29.5Mbps、楽天モバイルが23.4Mbps、NTTドコモが18.7Mbpsとなっており、上り速度でも他の地方と同様に事業者間の差は小さいことがわかります。
興味深い点として、全108地点での5G受信地点の比率は75.5%で、これまでの調査結果において最高の数値となりました。特に「駅以外」の地点の判別が高く、駅ホームでの受信は68.8%であったのに対し、駅以外では80.8%という結果でした。これは5Gの普及が進んでいることを示唆しています。
次に、全108地点におけるレイテンシ(遅延時間)では、楽天モバイルが12.5ミリ秒で最も短く、続いてNTTドコモが19.9ミリ秒、ソフトバンクが22.0ミリ秒、auが22.3ミリ秒という結果でした。これにより、楽天モバイルがレイテンシにおいて優位性を持つことが確認されました。
速さの観点では、下り速度が最も速い地点は兵庫県のノエビアスタジアム神戸で、その速度は339Mbpsでした。一方で、最も遅い地点は京都の銀閣寺で、わずか15Mbpsという結果でした。その他にも30Mbps未満の地点がいくつか存在しており、特に奈良のバスターミナルや東大寺の南大門などでの速度は厳しいものでした。
この結果から、関西地方は全国的に見ても5Gインフラが整っていますが、依然として速度にバラつきが見られることが示されています。ICT総研では、今後もユーザーにとって重要な実測データを定期的に提供し、通信環境の改善に寄与していく方針です。
今後も5Gの進化がもたらす社会変革に乞うご期待です!