口腔ケアが2型糖尿病の血糖管理に果たす重要な役割の研究発表

口腔ケアが2型糖尿病患者の健康を守る

近年、2型糖尿病患者における口腔ケアの重要性が注目されています。この度、サンスターグループと医療法人南昌江内科クリニック及び一般社団法人南糖尿病臨床研究センターの共同研究が、米国糖尿病学会の機関誌『Diabetes Spectrum』に掲載されました。本研究では、歯間清掃と血糖管理に関する新たな関連性が示されました。

研究の背景と目的

糖尿病と歯周病は深い関係にあり、特に歯周病治療によってHbA1c値が改善されることは知られています。しかし、日常的な口腔ケアと血糖管理の関連については明らかにされていなかったのが現状です。本研究では、2型糖尿病患者の口腔ケア習慣と血糖の変動への影響を探求し、CGM（持続血糖測定）による詳細なデータを通じてその関連性に迫りました。

研究方法

2020年10月から2021年12月の間、104名の2型糖尿病患者を対象にして研究が行われました。参加者には、歯科通院状況や口腔衛生習慣についてのアンケートが実施され、血液検査とCGMデータも収集されました。これにより、口腔衛生状態がどのように血糖値に影響を与えるのかを分析しました。

研究結果

口腔衛生と血糖管理の相関

研究の結果、定期的な歯科受診や歯みがき、歯間清掃の習慣が血糖値に与える影響が明らかになりました。週3回以上の歯間清掃を行う患者は、血糖値が一定の範囲内で安定しており、GMI（血糖管理指標）も低いという結果が得られました。また、参加者の平均歯数が多いほど、血糖コントロールが良好であることが確認されました。

炎症との関連

口腔衛生が良好な患者は、空腹時の血糖値やHbA1cが低く、全身の炎症マーカーでも有意に良好な結果が得られました。これにより、口腔ケアが糖尿病管理だけでなく、全身の健康に寄与する可能性が示唆されます。

今後の展望

本研究を基に、医科と歯科の連携による包括的な糖尿病ケアの重要性が高まります。診療報酬改定においても、歯科受診を促進する方策が進められる見込みであり、今後は医療現場での普及が期待されます。口腔ケアの習慣を通じて、糖尿病患者のQOL向上への寄与が期待されます。

研究の意義

医療法人南昌江内科クリニックの糖尿病専門医、前田泰孝先生は、この研究成果が患者の口腔ケアに対する理解を深める良い機会だったと語っています。さらに、医科歯科連携による新しい治療法の模索が一層進むことが期待されます。

論文情報

- タイトル: Oral hygiene practices and glucose profiles assessed through continuous glucose monitoring in adults with type 2 diabetes
- 著者: Kayo Harada, Yasutaka Maeda, Dan Sekiguchi,等
- 掲載誌: Diabetes Spectrum
- DOI:

本研究は、糖尿病とともに生きる方々にとっての新たな知見として、日々の口腔ケアがどれほど重要であるかを示しています。歯の健康を通じて、全身の健康が守られる時代が来ることを願っています。