さくらインターネットと高知工科大学、Beyond 5G MECプラットフォーム「Giocci」を開発
さくらインターネット株式会社、高知工科大学、シティネット、近畿大学ならびに東京大学、大阪大学サイバーメディアセンターが共同で、次世代通信技術の研究開発に取り組んでいます。この度、「Giocci」と名付けられた新しい広域分散実行プラットフォームが開発され、これによりクラウドとMEC(マルチアクセス・エッジ・コンピューティング)間でアプリケーションをシームレスに実行できる環境が整いました。
このプロジェクトは、2021年11月から始まり、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)の進めるBeyond 5G研究開発促進事業の一環として進行しています。特に、この研究は「関数型パラダイムで実現するB5G時代の資源透過型広域分散コンピューティング環境」をテーマにしており、効率的な分散コンピューティングの実現を目指しています。
プラットフォーム「Giocci」の概要
「Giocci」は、Elixirという関数型言語を使用し、広域に分散した計算資源を有効活用することを可能にします。このプラットフォームは、さまざまなIoT機器とコンピュータを組み合わせ、次世代のコンピュータ通信インフラを構築します。特に、2024年に行われるフィールドトライアルでは、高知工科大学のLocal5G環境とさくらのクラウド、さらにソフトバンクが提供するMEC環境が連携し、実際のアプリケーションを試験運用します。
各機関の役割
プロジェクトに参加する各機関の役割は以下の通りです:
- - さくらインターネットは、クラウド環境の提供やエッジコンピューティング技術の開発を行い、Beyond 5G時代に向けたアプリケーションの設計と必要な通信インフラの実現に貢献します。
- - 高知工科大学は、Local5G設備を整備し、テストベッド環境を作成するとともに、5G基地局やコアネットワークの構築も行います。
- - シティネットは、IoT機器がリソースを透過的に扱えるようプラットフォームを設計し、各大学をつなぐインフラの整備を担当します。
- - 近畿大学は、広域分散環境における資源配置のアルゴリズム研究を行い、効率的なリソース利用への道を探ります。
MEC環境の概要
プロジェクトでは、ソフトバンクが提供したSRv6 MUPを利用し、簡単にデバイスを接続できるMEC環境を活用します。具体的には、Raspberry Pi 4から5Gドングルを介して接続し、プラットフォームを通じて要求性能や遅延に応じてアプリケーションを最適な場所で実行します。将来的には、様々なLocal5G環境や商用MECサーバー、クラウド環境がシームレスに統合されることを目指しています。
今後の展望と展示会
本プロジェクトの成果は、2024年1月17日から19日まで博多国際展示場で開催される「JANOG53 Meeting」において展示されます。ここでの発表を通じて、研究者や業界関係者との交流を図り、さらなる技術の発展を目指します。興味のある方は、公式ウェブサイトから詳細情報を確認することができます。
参考情報
詳しい情報は、以下のリンクをご参照ください:
5G MECのフィールドトライアルに関するプレスリリース
Giocciのオープンソースコード