KPMGコンサルティング株式会社(本社:東京都千代田区)が、国内企業や公的機関におけるAIの利用状況やガバナンス構造についてまとめた「AIの利活用・ガバナンス等の動向調査」レポートを発表しました。このレポートは、テクノロジー・メディア・通信(TMT)業界に属する組織の状況や、今後のビジネス機会を見極めることを目的としています。調査は、日本国内の企業および公的機関の経営者や役員、従業員など2,788名を対象に行われ、16の業種を横断的に分析しています。
レポートで特に注目すべきポイントは以下の通りです。
1. 生成AIの活用が進む業界の特徴
調査結果によると、生成AIを利用している業種は、通信業や情報サービス業、製造業(特に電機機器関連)で顕著で、回答者の約半数が業務において生成AIを活用しています。興味深いことに、これらの業界では勤務先が契約しているAIサービスに加え、他のサービスも利用することが認められている企業が約3割に達しており、柔軟性が高い環境が整いつつあります。
2. ガバナンス体制の構築が業務効率に寄与
AIを活用する業界では、ガバナンス体制の確立が進んでおり、特に通信業や金融業界の約6割の企業が全社的なガイドラインを整備していると回答しています。事業部や部署ごとにルールが設けられている場合、業務効率が向上したとの回答が約40%に上りました。これは、ガバナンス体制を整えた企業とそうでない企業との間で明確な差を生んでいることを示しています。
3. 職業代替への懸念は希薄
調査に参加した方々のうち、AIによって職業が代替されるリスクを感じている人は全体の18%にとどまっています。これは、日本が慢性的な人手不足を抱えている現状を反映し、逆にAIを労働力の補完として捉える動きがあることを示唆しています。一方で、映像制作や法律関連の専門サービス業など特定の業種では、リスク認識が高い傾向が見られます。
4. データ主権への関心の高まり
AIシステムに入力したデータが意図しない形で利用されるリスクを感じている人は35.4%に上り、特に金融・不動産業ではこの割合が4割を超えています。このことは、企業がデータの安全性に対する意識を高めていることを示しています。
5. シャドーAIの利用・バイブコーディングの課題
調査対象者の約14%が職場で扱う情報を私的な生成AIに入力した経験があり、バイブコーディングを利用した際には、約65%がその内容を十分に理解していなかったと回答しています。これは、生成AIの普及が進む一方で、セキュリティリスクへの対応が急務であることを示しています。
本調査は、2023年5月15日から19日の間にウェブ形式で行われ、有効回答数は2,788件に上ります。業種は通信業、映像・音声制作業、情報サービス業など、幅広くカバーされています。
この調査結果は、今後のAI活用やガバナンスの戦略を考える上で重要な資料となります。調査の全文はKPMGの公式ウェブサイトからもダウンロード可能です。今後の動向にも注目が集まります。