診療報酬改定から半年、医療現場の実態を探る調査結果
昨年6月に施行された令和6年度の診療報酬改定から約半年が経過しました。この度、株式会社エムステージマネジメントソリューションズが実施した調査によると、医師892名と医療機関47院を対象に、改定の影響について詳しく調査されました。この調査の結果は、医療現場における経済的な影響や、医療サービスの質についての懸念を浮き彫りにしました。
調査の背景と目的
2年に一度行われる診療報酬改定は、医療機関の経済状況や業務に大きな影響を与える重要なイベントです。本改定では、「医療DXの推進」「外来の機能分化」「賃上げ」が主な焦点となっていますが、実際の医療現場ではこれらの政策が十分に実現されていないという声も多く聞かれます。そこで、改定の実際の影響を医師や医療機関の立場から把握するために、調査が実施されました。
調査結果の要点
関心のある項目
調査の結果、最も関心が高い項目は「賃上げ・基本料などの引き上げ」で、659名がこの項目に挙げました。医師および医療機関ともに、この点を最も重視していることがわかります。次いで医師は「外来医療の機能分化・強化等」が321件、医療機関は「医療DXの推進」が30件と続きました。
影響を感じる項目
影響を感じたという回答でも、最多が「賃上げ・基本料などの引き上げ」で510件にのぼりました。次いで医療現場における円滑さや効率性を目指す「外来医療の機能分化・強化等」が295件、そして「医療DXの推進」が200件の回答でした。
外来医療の機能分化
「生活習慣病に係る医学管理料の見直し」について聞くと、58.9%の医師・医療機関が自院の経営状況は「変わらない」と回答しており、経営に対する影響はあまり感じていない結果が出ました。一方で、24.5%は「収益が減少した」としています。
医療DXの現状
医療DXの進捗状況を尋ねたところ、「とても進んでいる」とする回答がわずか2.5%、およそ20%に留まったことがわかりました。特に年代別に見ると、20代の医師の中で「進んでいる」との回答が最も多く、31.3%に達する一方で、60代以上は16.1%に過ぎないことが示されました。この差は、今後の医療現場の変化の鍵となるでしょう。
医療現場の課題
調査から明らかになった点は、医療DXが進んでいない最大の要因が「対応できる人材の不足」であり、次いで「予算がない」「対応できる時間が不足している」という現状が浮き彫りになりました。このような課題解決こそが、より良い医療サービスの提供に必要不可欠であることを示しています。
結論と今後の展望
この調査結果は、診療報酬改定が医療機関や医師に与えた影響を明らかにしながら、今後の医療サービスの改良や効率化に向けた改善点を考える材料を提供しました。株式会社エムステージマネジメントソリューションズは、今後も医療現場の状況を注視し、支援を行っていくことが求められます。医療現場をより良い方向へと導くために、私たちの全力を尽くしていきます。