株式会社Dmeltと東京学芸大学が次世代教育モデルの研究を開始
株式会社Dmelt(東京都渋谷区)と国立大学法人東京学芸大学(東京都小金井市)は、新しい教育モデルの研究開発に着手しました。共に取り組むのは、同大学の堀田龍也教授による「キャリア・クラフティング」を基盤に据えたプロジェクトです。これは、AX(AIトランスフォーメーション)時代における教育の在り方を再考するものです。
研究の背景
近年、生成AIを含むデジタル技術が急速に普及し、特にルーティンワークの自動化が進んでいます。このような状況下で、人間ならではの能力とは何かが議論されています。また、働き方も大きく変化し、個々のキャリアは「一度決めて終わり」ではなく、終生にわたって更新し続けるものとして捉えられるようになっています。このような変革の中で、OECDも「ラーニング・コンパス2030」を発表し、学習者が自ら目標を定める「エージェンシー」や、持続的な幸福を実現する「ウェルビーイング」を教育の中心に置くべきだと示しています。
これに伴い、企業の人材育成と学校教育の接点が重要視されるようになり、主体的にキャリアを切り拓ける人材の育成が求められています。この動きに応じて、株式会社Dmeltは東京学芸大学との共同研究を立ち上げたのです。
キャリア・クラフティングの重要性
「キャリア・クラフティング」とは、自分のキャリアを受け身で進むのではなく、自身の価値観や関心に基づいて主体的に更新し続けるという概念です。もともと企業の人材育成における研究から派生したこの考え方は、まだ学校教育に応用されることが少ない分野です。日本でも、この概念を用いた実証研究や尺度開発が進んでおり、より効果的な教育モデルの構築が期待されています。
研究の目的
本共同研究では、学習者が自分の人生を主体的に形成するために必要な資質・能力の整理を行い、教育現場で活用できるフレームワークの策定を目指します。具体的には、次の四つの課題に取り組む予定です。
1.
資質・能力の整理:主体的にキャリアを更新し続けるための必要な資質・能力を整理し、教育者に必要な資質・能力も明らかにします。
2.
プログラムの開発・実証:学習者の発達段階に応じたプログラムを整理し、実際に使えるプログラムを開発します。
3.
教職課程との連携:教職課程の学生や現職教員からのフィードバックを通じて、フレームワークの実用性を検討します。
4.
標準データフォーマットの策定:思考・行動・内省のプロセスを記録するためのフォーマットを設計します。
教員養成の最前線としての役割
東京学芸大学は、文部科学省から教員養成フラッグシップ大学に指定され、これまで国内に先駆けて「自律型カリキュラムデザイン」の研究を行ってきました。このデザインは、自らの成長の軌跡を確認し、新たな自己像を探求するプロセスを通じて、学生自身が主体的に学びとキャリアを設計できるようにするためのものです。
この取り組みを通じて、次世代の教育人材育成に寄与し、AX時代にふさわしい教育モデルの実現を目指しています。
研究関係者のコメント
堀田龍也教授は、「学習者が主体的に学び、自らのキャリアを形成する力を育むことが、学校教育の重要な課題の一つ」であると指摘しました。また、株式会社Dmeltの田﨑智憲さんは、「学習者が主体的に学び続け、自らのキャリアを形成するための教育モデルの構築を目指しています」と述べています。
結論
株式会社Dmeltと東京学芸大学の共同研究は、今後の社会において必要とされる教育モデルの確立に向けて意義深い一歩となるでしょう。AX時代に適応した学びの形を模索する中で、教育界に新たな風を吹き込む期待が寄せられています。