Upstageとカラクリ共同開発の『Syn Pro』が国産基盤モデルに認定

日本のAIが進化する：『Syn Pro』の国産基盤モデル認定

2025年11月21日、東京で発表されたニュースは、国内のAI技術に新たな道を切り開くものでした。Upstage AI株式会社とカラクリ株式会社が共同開発した大規模言語モデル『Syn Pro（シン・プロ）』が、経済産業省により「国産基盤モデル」として正式に認定されたのです。これは、日本国内の企業や大学によって開発されたAIモデルに与えられる栄誉であり、AI技術の安全性と信頼性を示す重要な指標です。

Syn Proとは何か？

『Syn Pro』は、31Bのパラメータを持つ日本語特化型の大規模言語モデルです。その最大の特長は、日本語の文脈理解と文化的背景を深く考慮した設計にあります。これにより、金融、保険、行政など、高度な信頼性が求められる分野での応用が期待されています。

このモデルは、Weights & Biases Japanが運営するNejumi Leaderboardにおいて、米国や中国を除くモデルの中では唯一、世界トップ20にランクインしていることからも、その実力がうかがえます。1

国産基盤モデルの意義

経済産業省の「国産基盤モデル」に登録されることは、日本企業が生成AIを導入する際の大きな後押しとなります。特に、データの安全性やコンプライアンスの確保が求められる昨今、国内開発のAIモデルは必要不可欠な選択肢です。データ主権や国内要件に適合するAIの利用は、企業にとって信頼性の高い判断基準となりつつあります。

Syn Proの特長

- 日本語精度と文脈理解の優位性

『Syn Pro』は、専門領域の表現や文化的文脈を最適化した設計が施されており、特に金融や法務分野で求められる高精度な応答を実現しています。経済産業省による認定基準にも適合しており、安全性が確保されています。

- オンプレミス環境への対応

このモデルは外部APIに依存せず、企業のネットワーク内や専用機器での運用が可能です。そのため、機密性の高いデータを扱う場面でも、安心して利用することができます。最新のAIワークステーションを用いれば、ユーザーのローカル環境で即時に利用が可能となるフレキシブルさも魅力です。

- 高性能かつ軽量な設計

パラメータ数が32B未満でありながら、高い日本語性能を持ち、大規模なフロンティアモデルに匹敵する能力を発揮します。この点からも、企業にとって高コストパフォーマンスでの導入・運用が実現可能です。

Upstageの展望

Upstageの代表取締役である松下紘之氏は、「Syn Proの認定は、日本企業や行政機関にとって、国内で即した安心して利用できるAIの導入を後押しするもので、大きな意味を持つ」とコメントしています。今後、Syn Proは保険や社会インフラ、公共サービスなど、日本の主要産業におけるAI活用基盤として、ますますの導入が期待されています。