東京おもちゃ美術館 館長交代のお知らせ
東京都新宿区に位置する「東京おもちゃ美術館」が、2025年4月1日から新しい館長を迎えることをお知らせします。これまでの館長、多田千尋が2025年3月31日をもって退任し、後任として山田心が就任します。館長交代に伴い、両名はそれぞれの抱負を述べています。
退任する多田千尋の言葉
多田千尋氏は、館長としての役割を2024年度をもって退任することを発表しました。彼は約30年間にわたり、おもちゃ美術館の運営に携わり、様々な挑戦を続けてきました。「おもちゃ美術館」は芸術教育研究所の運営のもとで始まり、2代目館長として13年間、さらに新宿四谷への移転後は16年間、理事長兼館長を務めました。多田氏は自身の役割について、全国に広がるおもちゃ美術館のネットワークを構築してきたことと、未だに現場にいることの難しさを挙げています。
彼は新しい時代の幕開けに、新任館長の山田心に託す思いを述べ、自身はNPO法人の理事長としてさらなる発展に注力することを決意しました。新館長の山田氏は、多田氏のもとでファンドレイザーとしての実績を積み、重要なプロジェクトを支えてきた実力者です。
新館長、山田心の抱負
新館長に就任する山田心は、20年前に東京おもちゃ美術館に入職し、長年の経験を経て館長職へと進むこととなりました。山田氏は、当館の入館者数が小さなミュージアムから、現在では大勢の人々に支持される場所へと成長したことを述べています。今後は、入館者のコミュニケーションを楽しむ場や、木のぬくもりを感じられる空間、さらには社会課題に向き合う活動を通じて、おもちゃ美術館の魅力を広げていく考えです。
「おもちゃ美術館は、単なる展示場ではなく、世代を超えた交流の場であり、社会的な課題に対する解決策を提供するミュージアムでもある」と山田氏は語りました。これからの活動を通じて、日本の遊び文化を推進し、明るい未来を創造する拠点であり続けることを誓いました。
東京おもちゃ美術館の成り立ち
東京おもちゃ美術館は1984年に中野で開館し、2007年には現在の新宿四谷に移転しました。和気あいあいとした雰囲気の中、11教室を活用した体験型ミュージアムとして、多くの家庭や教育者に支持されています。
難病児の招待制度や「グッド・トイ」の発表など、アクティブな取り組みを続けるおもちゃ美術館は2023年、「Children in Museums Award2023」を受賞し、世界的にも評価される存在となっています。
全国の広がり
また、2025年3月に「奈良おもちゃ美術館」が開館予定で、全国におもちゃ美術館が広がる動きも進行中です。愛媛県今治市に設立予定の「しまなみ木のおもちゃ美術館」や、静岡県御殿場市の「富士山おもちゃ美術館」など、さらなる展開に期待が寄せられています。
社会貢献と活動の広がり
認定NPO法人芸術と遊び創造協会は、専門家育成を始め、木育推進や高齢者支援、難病児の遊び支援など、さまざまな事業を展開しています。世代間交流を促進し、誰もが豊かに暮らせる社会の実現を目指して活動している同法人は、今後も多様なイベントやプロジェクトを通じて、おもちゃと遊びの力を広げていく所存です。