猛暑の影響で酒類業界が4カ月ぶりの改善を達成

酒類業界の景況感、猛暑の恩恵

記録的な熱波が続く中、酒類業界の景況感が大きく改善しています。帝国データバンクの調査によると、最近の猛暑に伴い、アルコール飲料の需要が高まり、業界の動向がプラスに転じています。特にこの暑さがもたらす季節需要は、飲料販売を押し上げる要因となっています。

酒場DIの動向

酒場DIは、酒類業種全体の景気動向を表す指標であり、さまざまな製造・販売業者のデータから算出されます。コロナ禍の始まった2020年以降、景況感は悪化と改善を繰り返してきました。しかし、2023年には新型コロナウイルスの5類移行への期待が高まり、酒場DIは急激に回復しました。2023年3月の47.3から同年8月には52.3に達し、2024年7月には猛暑の影響もあって44.4と4カ月ぶりの改善を見せ、全産業の景気DIを上回る結果となりました。企業からは「暑い日が続き、飲料が良く売れる」との声が上がっていますが、一方で「酒類消費の多様化により、コロナ前の水準には戻りづらい」との意見も見られます。

大手4社の売上傾向

酒類業界大手4社が発表したところによれば、彼らは増収傾向にあり、特にビールの販売が好調です。日本国内における酒類消費は全体としては縮小傾向にあるものの、海外市場への展開が進んでいます。特に2023年には、日本産酒類の輸出金額が約1,344億円に達し、2019年比で倍増しています。ただし、最近の中国経済の低迷の影響で、輸出は減少傾向にありますが、ビールの韓国向け輸出は前年同月比で35.2%増加しています。

2024年予測では、アサヒグループなどの大手4社は全て増収すると見込まれており、特にサッポロHDが注力している「ヱビスビール」のブランド体験施設は顧客の獲得に貢献し、前年同期比で10%の販売増を記録しています。

業界の課題と展望

一方、酒類メーカーは原材料の高騰や販売価格の競争、さらにドライバー不足による輸送コストの上昇といった課題に直面しています。これらの要因は、今後の業績に影響を及ぼす可能性があります。特に、2026年10月に控える第3回ビール減税を見越して、新たなビールブランドや低アルコール飲料の開発、また輸送面での効率化が重要です。