気候変動と株主提案
2025-07-04 17:49:57

日本のメガバンクと商社、気候変動に対する株主提案結果が示す課題

日本のメガバンクと商社、気候変動に対する株主提案結果が示す課題



2023年4月、日本国内外の環境団体が日本のメガバンク3行(MUFG、SMBC、みずほ)、総合商社(三井物産、三菱商事、住友商事)、及び中部電力に対して気候変動に関する株主提案を提出しました。この提案は、企業が掲げるネットゼロ目標と実際の事業内容との整合性を問うものであり、特に化石燃料への投融資や燃料調達事業に関与し続けている現状に着目したものです。

企業の気候変動に対する姿勢の不十分さが明らかになる中、株主提案はすべて否決されましたが、賛同率が10%を超える提案もあるなど、一部の投資家からは一定の支持を受けました。しかし、多くの投資家は、該当企業に対して株主提案の重要性を十分に認識しているとは言えず、気候リスクに対する説明責任の追求が求められています。

特に、みずほは昨年の賛同率が半減するなど、企業の気候変動リスクに対する意識に疑問が残ります。環境団体は、各企業に対し気候リスク管理の実施状況を強化するよう求める声を強めています。特筆すべきは、資産運用会社の中で、気候リスクを重視しない企業への投資が依然として行われている点です。これに対し、Market Forcesは機関投資家への働きかけを続け、市場の透明性向上を求めています。

株主提案の実施と影響



具体的には、英国最大の資産運用会社、リーガル・アンド・ジェネラル・インベストメント・マネジメント(LGIM)は、我々の提案に賛同する意向を示しました。LGIMは、三菱UFJフィナンシャル・グループや中部電力に対する株主提案を支持し、企業の気候変動リスクへの取り組みの強化を求めています。気候変動のリスクを適切に管理しなければ、企業価値にマイナスの影響が出る可能性が高まります。

三菱商事、三井物産、住友商事の総合商社は、少なくとも2.6℃から3.6℃の気温上昇に合わせた事業計画を掲げていますが、これはパリ協定で定められた目標と矛盾するものです。特に、昨年の『化石燃料ファイナンス報告書 2025』によると、2024年にはみずほの化石燃料関連の資金提供が前年から16%増加する見込みです。

このような現実を考慮すると、我々は企業がより一層の対応を進めることを求めます。日本の大手企業が過去数年間のエンゲージメント活動の結果、地域社会の懸念を受け入れ、化石燃料のプロジェクトへの関与をやめる事例も増えてきました。この傾向は、持続可能な未来に向けた希望をもたらしています。ただし、その一方で、企業と投資家の双方には、気候変動に対する真剣な取り組みが求められています。

企業と投資家の対応



Market Forcesは、機関投資家に対して、適切な議決権行使を通じて気候リスク管理の水準を向上させるよう求めています。日本の主要な機関投資家の調査は、気候変動リスクに対するスチュワードシップ責任の果たし方を示しています。企業が気候リスク管理を怠る限り、これらの投資家への働きかけを強める必要があります。

各企業が未来への責任を認識し、持続可能なビジネスモデルを構築することは急務です。全ての関係者が共同で取り組む姿勢が求められる中、企業と投資家に向けたエンゲージメントを継続し、効果的な行動を促していくことが重要です。そして、気候変動への取り組みを促進することが、社会全体にとって不可欠な課題となっています。

我々は今後も、日本の大手企業にますます厳しいエンゲージメントを展開し、気候変動リスクへの対応を促進し続ける所存です。これにより、将来的な企業の成長と持続可能な社会の実現を目指します。


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