魚力と北三陸ファクトリーの業務資本提携
2023年10月、株式会社北三陸ファクトリーは、株式会社魚力と業務提携および投資契約を締結した。この提携により、両社はウニの再生養殖事業の拡大とサステナブルな水産物の流通を推進することを目指している。
魚力は、日本における最大手鮮魚小売業の一つで、環境問題に対する取り組みを重要視している。特に、藻場の再生や持続可能な水産業の実現に向けた活動に力を入れており、世界中で魚食文化の普及を目指している。魚力の山田会長は、「現在の日本のウニ流通に関して、地球温暖化による国産ウニの減少が懸念されている。このような状況で北三陸ファクトリーが進める再生養殖事業は、国産水産物を保護し、磯焼け防止にも大きく寄与する取り組みである」と強調している。
北三陸ファクトリー代表の下苧坪社長は、「国内生産量の減少を是正し、ウニを通じて持続可能な水産業の未来を切り開くため、魚力とのパートナーシップを活用していく」と語っている。彼らは、新たな流通網を築き、海洋環境の保護と豊かな水産資源の未来を確保することにコミットしている。
サステナブルなシーフード普及の必要性
持続可能な水産業は、漁業資源や生態系を守るために不可欠である。最近では、日本の漁獲量が減少傾向にあり、これに伴い、魚食文化の存続が脅かされている。乱獲や違法漁業が問題視される中、これを防ぐための取り組みが重要視されている。
北三陸ファクトリーは、ウニの再生養殖技術を確立し、環境に優しい養殖業の実現を目指す。また、オーストラリアのグレート・サザン・リーフ・ファンデーションと協力し、他国にもこの取り組みを波及させることを計画している。これにより、ウニを通じた磯焼け問題にも対処し、持続可能な未来を築いていく。
過去の取り組みと将来の展望
両社はこれまでに、サステナブルな方法で生産された「洋野うに牧場®︎の四年うに」や「はぐくむうに」を販売してきた。今後は、国内外の市場に向けて、世界が求める持続可能な水産物の流通を拡大する。特に、オーストラリア産の海産物についても検討を進めている。
北三陸ファクトリーは、ウニの再生に特化した養殖システムを確立し、実のないウニを短期間で商業価値のある製品に変える技術を持つ。これにより、海洋資源が持つ潜在能力を最大限に引き出し、未来の水産業を革新することを目指す。
今後行われる「JAPAN UNI SUMMIT2024」では、国内外の関係者が集まり、ウニを通じて海洋環境を考える議論が交わされる予定だ。北三陸ファクトリーは、このサミットを通じて持続可能な未来に向けた提案を行い、幅広い協力を呼びかけている。
北三陸ファクトリーの本社は岩手県九戸郡洋野町に位置し、「海を豊かにする」を企業理念に掲げている。彼らは、最高品質のウニの育成と共に、世界の海洋環境を守るための革新的な取り組みを進めている。