次世代AIカメラ技術が拓く新たな可能性と効率性
近年、AI(人工知能)技術の急速な進化により、様々な分野でその活用が進んでいます。特に、カメラ技術においては、サーマル画像処理とAI機能が融合した次世代のソリューションが登場し、業界に新たな風を吹き込んでいます。今回、コーンズテクノロジーが国内代理店を務めるTeledyne FLIR(通称フリアー社)と米国のLantronix社がコラボレーションを実現させた次世代AIカメラソリューションに注目が集まっています。
サーマルカメラとAI技術の融合
この新しいカメラソリューションは、フリアー社の高性能なサーマルカメラおよび次世代AI対応カメラと、Lantronix社のOpen-Q™ SoM(System on Module)を組み合わせることで実現されています。これにより、リアルタイムで高度な熱画像処理やAI機能のエッジ処理が可能になり、さまざまな分野での応用が期待されています。特に、ドローンやロボティクス、セキュリティシステムにも適用可能で、多くの新たな可能性が見込まれています。
従来の課題とは?
従来、赤外線カメラモジュール如「Boson」や「Hadron」と、組み込みソフトウェア「Prism™」を組み合わせたアプローチにより、可視光と赤外線映像の融合や、ノイズ除去、大気の揺らぎの補正、物体検出と移動体追跡などの高度な処理が行われてきました。しかしながら、それらの処理をリアルタイムで行うことは技術的に大きな課題であり、デバイス全体の小型化や、開発工数・期間の短縮が求められていました。
新たな解決策 - Open-Q SoM
これらの課題を解決するのが、Lantronix社の「Open-Q SoM」です。Qualcomm Dragonwing™ QRB5165またはQCS8250プロセッサを搭載したこのモジュールは、AIによる状況認識や熱画像処理をリアルタイムで支えています。また、Multiple MIPI-CSIカメラインターフェースにより、可視光(RGB)映像と赤外線映像を同時にキャプチャすることが可能です。これにより、開発者は迅速に性能に優れたAIカメラソリューションを構築でき、SWaP(サイズ、重量、消費電力)にも優れた製品を短期間で世に送り出すことができます。
代表的な構成例
1.
Hadron™(可視光+赤外線デュアルカメラ):Open-Q 8250 SoMと統合(QCS8250 / Android™)
2.
Boson®(超小型熱画像カメラ):Open-Q 5165 SoMと統合(QRB5165 / Linux®)
3.
Prism ISP(画像処理):超解像、揺らぎ補正、ノイズ除去、フュージョン処理など
4.
Prism AI(AI処理):物体検出、ターゲット追跡、高速フレームレート対応
カメラモジュールとAIエッジインテリジェンスの最適化
フリアー社OEM部門のMichael Walters氏は、このコラボレーションについて「面白い革新を提供するもので、サーマル対応のAIプラットフォームを開発するシステムインテグレーターにとって、柔軟性を生み出す」と述べています。ラントロニクス社のMathi Gurusamy氏も、「Open-Q SoMを通じて開発者は信頼性ある技術を利用しつつ、AIソリューションの構築ができる」と、期待を寄せています。
導入の可能性
この技術は特に、監視やセキュリティ、さらには自律ナビゲーションなどの分野での導入が期待されており、よりスムーズで迅速なサービスの提供に貢献するでしょう。新型技術により、これまで以上に効率的な処理が可能となり、業界全体に好影響を及ぼすと考えられます。従来の課題を克服したこのカメラソリューションが、どのような新しい展開を生むのか目が離せません。