JR西日本が挑む保守メンテナンスの革新と持続可能な社会の実現

JR西日本の保守メンテナンス手法の変革

JR西日本は、社会課題に立ち向かうため、持続可能な社会の実現を目指して「鉄道事業の活性化と構造改革」に取り組んでいます。その一環として、保守メンテナンス手法の革新を進めています。特に、人口減少や少子高齢化による人材難といった現代の課題に応えるためのアプローチが求められています。

モニタリング保全の導入

この取り組みの中核となるのが、「モニタリング保全」と呼ばれる新しい手法です。これは、車両の状態を常時監視し、必要なときにメンテナンスを行うCBM（Condition Based Maintenance）の考え方に基づいています。具体的には、運転台制御や空気圧、室内温度など、多様な情報データがリアルタイムで収集され、地上のシステムに蓄積されます。このデータは、ビッグデータとして活用され、車両の保守に生かされるのです。

MiyoCcaシステムの導入

新たに導入された「MiyoCca（見よっか）」システムは、データのスマートな活用を可能にします。これにより、次の3つの具体的な取り組みが実現します。1つ目は、データによる検査置換で、車両の状態を高頻度で自動的に判定すことができます。従来は90日ごとの定期検査が行われていましたが、今後は運行中に毎日検査ができるようになり、車両の品質向上が期待されています。

2つ目の取り組みは、車両不具合の予兆把握です。これは、膨大な車両データを分析し、装置の劣化状況を予測することで未然に不具合を防ぐことを目的としています。たとえば、空調機器の電流データを分析し、劣化の兆候を捉えることで、必要な修繕を事前に行うことができます。

最後に、故障発生時の即時対応に関してですが、運行中の車両情報をリアルタイムで地上の職社員に伝えることで、迅速な対応が可能になります。これにより、走行中に故障が発生した場合にも、迅速に問題を把握し、対策を講じることで、乗客への影響を最小限に抑えられるのです。

新しい技術の展望

MiyoCcaに包含されるシステムには、モニタ状態監視システムや状態判定システムなどがあります。モニタ状態監視システムは、故障時の運転台の画面を遠隔でリアルタイムに確認することが可能です。2024年10月からは新たに状態判定システムの導入も予定されており、さらなる効率化が見込まれています。

また、屋根上画像診断システムの開発も進んでおり、これにより機器の状態を自動で判定できるようになります。このような革新的なシステムを利用することで、JR西日本はSDGsの目標9や11にも貢献していくと考えられています。