新潟大学とharmo、電子版お薬手帳を用いた共同研究
新潟大学とシミックホールディングスのグループ企業であるharmoが、2025年3月10日に契約を結び、新たな共同研究を開始すると発表しました。これは、電子版お薬手帳を活用し、周術期における薬剤管理の精度向上を目指すものです。
研究の目的
この研究では、新潟大学医歯学総合病院を舞台に、高齢者を中心とした手術を受ける患者のために「harmoおくすり手帳」の新機能である休薬検索機能を用います。この機能により、手術前後に休薬が必要な薬剤の特定を迅速に行うことができ、医療安全の向上に寄与することを目的としています。特に、周術期に休止すべき薬剤を確実に把握することは、合併症の発生や手術の延期を防ぐために重要です。
休薬検索機能の特長
「harmoおくすり手帳」の新機能である休薬検索機能は、患者の服薬情報と薬剤リストを照合し、医療従事者に対して見やすい形で提示します。これにより、医療現場での情報管理が円滑になり、必要な手続きを迅速に行えると期待されています。
研究の背景
近年、高齢者に対する手術適応が拡大し、それに伴い手術を受けるハイリスク患者の数も増加しています。これらの患者は周術期に特定の薬剤を休止または再開する必要がありますが、適切な管理が行われない場合には、重大なリスクを伴います。厚生労働省も質の高い周術期医療を提供するための方針を打ち出しており、2022年度の診療報酬改定では「周術期の薬剤管理加算」が新設されました。これを受けて、医療DX(デジタルトランスフォーメーション)を通じた解決策の必要性が高まっています。
研究の意義
本研究の重要な点は、ハード面での進化に加えて、医療の質を向上させ、患者の安心安全を実現することです。電子版お薬手帳をPHR(パーソナルヘルスレコード)の一環として活用することで、医療従事者と患者のコミュニケーションを円滑にし、より効率的な医療現場の実現へとつながります。
研究の始まり
本研究は、新潟大学医歯学総合病院のInnovation Design Atelier(I-DeA)から発展した初の共同研究であり、シミックヘルスケア・インスティテュートの支援を得て行われています。このような連携を通じて、より実効性の高い薬剤管理の方法が提示されることが期待されます。
新潟大学とharmoの共同研究が医療の現場でどのように活かされ、どのように患者の安全を確保するのか、今後の進展が注目されます。