マンパワーグループが示す日本の雇用意欲
総合人材サービスを提供するマンパワーグループ株式会社(本社:東京都港区)が、2024年第4四半期(10~12月期)の企業の雇用計画に関する調査結果を発表しました。この調査は、企業が契約社員や派遣社員を含む雇用計画にどれだけ変動があるかを問うもので、今回は東京・大阪・名古屋の企業1,050社からデータを収集しました。調査結果によると、日本の純雇用予測は+12%となり、前四半期と比べて変化が見られませんでしたが、前年同期比では1ポイントの増加が確認されました。
調査の背景
マンパワーグループの雇用予測調査は、世界42カ国にわたる広範な調査を実施していることで知られています。日本においても、同様に季節調整を行った上で、増員する企業の割合と減員する企業の割合をもとに、雇用意欲を測定しています。今回の調査では、「増員する」と回答した企業が29%、「減員する」と回答した企業が15%となり、純雇用予測が算出されました。
業種別の雇用予測
調査では、9業種の内7業種が増員を予定している結果が示され、特に注目すべきは「情報技術(IT)」です。IT業界は、前四半期比で12ポイント増となる純雇用予測+35%を記録し、最も活発な雇用市場であることがわかりました。また、他の業種も順調な増員が見込まれており、金融、不動産、ヘルスケアなど幅広い分野で雇用の拡大が期待されています。
組織規模による雇用の違い
組織規模別調査でも、従業員数10人未満を除く5つの組織規模で増員が見込まれています。特に、従業員数1,000-4,999人の組織では、安定した雇用が見込まれています。このように、組織規模によらず日本市場は安定した雇用環境にあるといえるでしょう。
課題と今後の展望
一方、2024年第4四半期の結果は前年同期に比べて上昇傾向を示していないことから、長期的には雇用の純増が見込めない状況が続くと考えられています。このような背景の中で、企業は生産性向上や従業員の役割見直しを進め、多様な施策が求められています。企業側が社員をどう動機付けし、モチベーションを維持させるかが重要なテーマとなるでしょう。
組織のビジョンと成長
社員のキャリアビジョンを考慮し、社員自らが成長できるプロセスを作ることが求められています。具体的には、職務とキャリアビジョンを関連付けて、どのように社員が成長するのかを示すことが今後の課題となります。メンバーが納得できる形での異動や役割の変更が行われなければ、退職やモチベーション低下のリスクが生じます。
この調査結果を通じて、マンパワーグループは今後も雇用市場の動向を見守り、企業が抱える課題に適切なアドバイスを提供できるよう努めていくことを約束しています。