水素製造技術の新たな一歩
日揮ホールディングス株式会社(以下、日揮HD)は、米国のスタートアップ企業であるアモジー社と基本合意書(MOU)を締結しました。この提携により、日揮HDは大規模なアンモニア分解による水素製造技術の開発を加速させることが期待されています。この新たな技術は、年産10万トンの水素を製造できる規模を目指しており、持続可能な未来に向けた重要なステップとなるでしょう。
アンモニア分解技術の重要性
水素はクリーンエネルギー源としての可能性を秘めており、その需要は今後ますます高まると見込まれています。特に、アンモニアを利用した水素製造は、その効率性とコスト削減の観点から重要視されています。日揮HDは、株式会社クボタや大陽日酸株式会社とともに、NEDOが推進する「競争的な水素サプライチェーン構築に向けた技術開発事業」に参画し、この技術の実現を目指しています。
アモジー社の低ルテニウム含有触媒
提携の鍵となるのが、アモジー社が開発した低ルテニウム含有触媒です。この触媒は反応温度が低く、少量のルテニウムでアンモニアを分解し水素を生成することが可能です。これにより、全体システムの効率が向上し、水素製造コストの低減にも寄与することが見込まれています。日揮HDは、2025年度内に実証プラントの基本設計を完了し、アモジー社の触媒を活用して高効率の水素製造技術を確立する方針です。
持続可能な社会への貢献
日揮HDは、今後もさまざまな企業とのコラボレーションを通じて、革新的な技術の開発を進めていく考えです。カーボンニュートラル社会の実現に向け、大規模な水素製造の技術開発を加速させるため、専門的な知識やスキルを有する企業との連携を強化していきます。これにより、産業規模での水素・アンモニア供給の実現を目指しており、クリーンエネルギー社会の構築に貢献することを目指しています。
経済的な側面
本技術の商業化が成功すれば、競争的な水素サプライチェーンが実現されるだけでなく、環境保護にも寄与することになります。日揮HDの専務執行役員である秋鹿正敬氏は、「アンモニア分解技術は、世界的なクリーン水素とアンモニアのサプライチェーン実現には欠かせない要素の一つです」と述べています。また、アモジー社のCEOであるセオンフン・ウー氏も、「このプロジェクトが水素産業の進歩につながることを嬉しく思っています。私たちの触媒技術が水素供給の効率化に寄与できると信じています」と語りました。
アモジー社の概要
アモジー社は2020年に設立された、アンモニアのエネルギー変換モジュールシステムの開発を行う企業です。ブルックリンに本社を置き、アンモニア分解触媒の開発にも取り組んでいます。新しい技術が今後の水素産業の発展にどのように寄与するのか、注目が集まります。日揮HDとアモジー社の提携は、持続可能なエネルギー社会の実現に向けた力強い一歩です。