新潟医療福祉大学、選球眼の向上に向けた革新的な研究を発表
新潟医療福祉大学の健康スポーツ学科に所属する越智元太講師や森下義隆准教授、西原康行教授らの研究チームは、VR(バーチャルリアリティ)技術を駆使し、野球選手の選球能力に関する新しい知見を得ました。この研究は、選球能力が打撃成績、特に出塁率や四球率と強く関連していることを示しており、その成果は今後のトレーニングに革命をもたらす可能性があります。
研究背景
野球において、選球眼とはストライクとボールを見極める能力を指します。優れた選球眼を持つ打者は四球を選ぶ確率が増し、打率向上にも寄与します。しかし、選球能力を科学的に評価する手法は長年確立されておらず、選手のトレーニング方法に悩む声が多く聞かれました。ここで注目されたのがIBR技術による選球能力の測定です。
研究方法
本研究では、北信越地区大学野球連盟に所属する男子大学生選手14名を対象に、VR選球課題および空間ストループ課題に取り組ませました。VR技術を用いて360度カメラで撮影した実際の投球映像を提示し、選手にストライクかボールかを判断させる課題を実施。また、空間ストループ課題によって選択反応の速度も評価しました。
このような方法で、選手の選球能力が実際の試合における打撃成績、具体的には出塁率や四球率と有意な相関を示すことが分かりました。特に、VR選球課題の正答率は出塁率と高い相関を見せたのです(出塁率 r=0.57, p<0.05)。
研究成果
今回の研究から、選球能力と空間的実行機能は独立して打撃パフォーマンスに寄与していることが明らかになりました。つまり、選球能力を向上させるためのトレーニングが可能であることを示しており、これが今後の選手育成に大きな影響を与えるでしょう。また、実行機能の良い選手ほどストライク判定の正確性が高いことも発見されました(関係 r=-0.67, p<0.05)。
今後の展望
この研究は、選球能力をVRでトレーニングする新たな手法の可能性を開きました。バーチャル環境でのトレーニングが実戦に与える影響を検証し、選手育成プログラムに組み込むことで、さらなる成果を期待できます。
また、研究成果は国際専門誌『Sports』に2025年10月に掲載予定であり、多くのアスリートやコーチからの注目を集めています。選球能力の科学的評価と向上の手法が確立されることは、野球界全体にとっても大変意義深いことです。
研究および問い合わせ先
本研究は文部科学省および日本学術振興会の助成を受けており、さらにNSGグループが支援しています。詳しい情報や問い合わせは、新潟医療福祉大学の入試広報部広報課までご連絡ください。