流域住民の声が反映された治水の未来
令和2年7月の豪雨による球磨川流域での甚大な被害を背景に、熊本県や国土交通省が治水対策を進める中で、流域住民の意見を把握するためのアンケート調査が実施されました。この調査は、治水方針についての意見を集め、今後の方針決定に役立てる目的で行われました。
調査の背景
球磨川流域では、増加する水害に対処するために「流域治水」という新たなアプローチが提唱されています。これは国・地方自治体・企業・住民が一体となって取り組むべき施策であり、具体的には環境に配慮した治水策の検討が進められています。蒲島郁夫熊本県知事は、2009年に建設を見送った川辺川ダムの建設を改めて求める発言をしましたが、住民との議論が不十分であるという指摘も多く見られます。
アンケート結果と考察
2020年の調査では307人の流域住民が回答しました。その結果、流域治水について知識があると答えた人は23%にとどまり、52%は聞いたことがあるが詳細は知らないと回答しています。これからの治水のためには、まず住民の理解を深める努力が必要です。
さらに、住民間での協力関係については、「十分に築けている」と感じる人はわずか17%。約42%の住民が「あまり築けていない」と回答し、協力体制が整っていないことが浮き彫りとなりました。
流域治水への協力意向
具体的な協力意向については、34%が住居や店舗の移転に協力したいと回答し、続いて遊水池の設置や避難対策に関する意見が寄せられました。70%の住民が「川があふれることはやむを得ないので、それを見越した対策を進めるべき」との意見を示し、現実的な治水方針の必要性が強調されています。
川辺川ダムへの意見
川辺川ダムについては、賛成と反対の意見が分かれました。全体として、賛成は35%、反対は29%でしたが、「どちらとも言えない」が36%と最も多く、住民の意見が統一されていない状況が浮かび上がります。特に人吉市や相良村の意見では、ダム建設に対する反対意見が42%に達し、自然環境への影響や緊急放流の危険性が懸念されています。
各回答者からは、住民への十分な説明と情報提供がなされていないとの指摘が目立ちました。このことは、行政と住民の間の信頼関係が築かれていない現状を如実に示しています。
まとめ
今回の調査結果から、適切な流域治水モデルを構築するためには、まず住民の理解を深めるための情報発信が不可欠であることがわかります。また、実際の住民の意見を真摯に受け止め、透明性のある議論を行うことで、より良い未来の治水対策が実現できるでしょう。球磨川の美しい流れと地域の安全を守るため、住民の声を反映させた政策の策定が求められています。
お問い合わせ先
本調査に関する詳細な情報を知りたい方は、株式会社マイズソリューションズの担当者、舛田までお問い合わせください。公式ウェブサイトの問い合わせフォームからもご連絡いただけます。
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