介護業界が直面している人材の定着問題が、株式会社LIFULL seniorによる最新の調査で浮き彫りになりました。介護職員の不足が懸念される2025年には、約32万人の人材が不足すると言われており、これは業界全体にとって喫緊の課題です。
調査の結果では、介護施設の運営事業者が感じている人材定着に関する課題のトップは「給与」と「職場の人間関係」で、いずれも約65.5%の回答が寄せられました。これに続くのは「勤務体系や休暇制度」(53.4%)や「教育・研修の体制」(46.6%)です。特に「給与」「人間関係」に関する不満が多く、人材の流出を防ぐためにはこれらの要素が重要であることが示されています。
施策としては、63.8%の事業者が給与や賞与の引き上げを実施しており、これは近年徐々に進んでいる処遇改善の一環と考えられます。しかし、コミュニケーションの改善施策は実施率が低く、例えば「メンター制度や1on1の実施」といった人間関係改善に直結する施策は22.4%の実施率でした。このことからも、介護施設における人間関係の構築が今後の課題であることが浮き彫りになりました。
興味深いのは、実施を検討しているがまだ行動に移せていない施策として「福利厚生の充実化」が最多で、27.6%の事業者が必要性を感じながらも実施できていないことがわかりました。これは、制度改革に時間がかかるためと考えられます。
効果的な施策としては「給与の引き上げ」と「勤務制度の改訂」が挙げられ、特に週休3日制やフレックスタイムの導入といった柔軟な勤務形態が支持を受けていることがわかりました。
さらに、外国人採用に関する取り組みも盛んで、27.6%の事業所が積極的に採用を行っていますが、スポットワーカーの活用はまだまだ発展途上の段階にあるようです。
LIFULL 介護の編集長である小菅氏は、「慢性的な人手不足の解消には、給与や福利厚生の改善だけでなく、職場環境の質、特に人間関係を改善することが必要である」と指摘しています。これにより、人材が定着しやすい環境が生まれ、さらなるケアの質の向上にもつながると考えられます。
介護業界が抱える課題は多岐にわたりますが、今後も適切な施策を講じることで、持続可能な人材確保が実現できることを期待したいです。
株式会社LIFULL seniorは、「老後の不安をゼロにする」ことをビジョンに掲げ、高齢社会の課題に対する解決策を模索するさまざまな事業を展開しています。老後や介護に関する最新情報を提供し、関わる人々の不安を取り除くために努力を続けています。