3Dプリント技術が救った海ガメ「シャーロット」の物語

海ガメ「シャーロット」の救命プロジェクト

海の命を救うための新たな取り組みが、これまでの常識を覆しています。株式会社システムクリエイトは、Formlabs社の3Dプリント技術を活用し、「シャーロット」という名の海ガメを救った事例を紹介します。このプロジェクトでは、海ガメが罹患した深刻な病気「バブルバット症候群」を克服するための革新的な方法が採用されました。

バブルバット症候群とは何か？

「バブルバット症候群」は、甲羅が変形し、体内に空気が蓄積されることで泳ぐことや食事が困難になる状態です。シャーロットは2008年、ジョージア州のジェキル島で保護されましたが、船との衝突が原因でこの病気に罹患していました。やがて医療スタッフは、重りを甲羅に付ける試みを行ったものの、効果は持続せず、シャーロットはその重りを簡単に取り外してしまう事態が続いていました。

画期的な解決策の提案

そこで、Mystic Aquariumのチームが考えたのは3Dプリント技術を用いたアプローチです。高精度スキャンに基づいてカスタムハーネスを設計することで、今までの課題に挑むこととなりました。この技術により、シャーロットの甲羅に完全にフィットする軽量で耐久性のあるハーネスが実現したのです。

3Dプリントハーネスの設計と製作

プロジェクトチームには、Functional 3D、ニューバランス、Adiaといった多くの専門家が一堂に会しました。特に、3Dスキャンで取得したデータを解析し、シャーロットに最適なモデルを設計しました。使用されたのは、FormlabsのFuseシリーズに搭載されているナイロン11 CF Powderという素材で、これによりハーネスは軽量でありながら強度も確保されています。

成功したカスタムハーネス

最終的に作られたハーネスは、シャーロットにぴったりとフィットし、耐久性も備えていました。プロジェクトリーダーのGondek氏は、「3Dプリントの柔軟性が、海ガメの健康と快適さの両立を可能にしました」と満足の表情を見せました。このカスタム設計されたハーネスを装着したシャーロットは、見事に水中でのバランスを取り戻し、元気に泳ぎ回れるようになったのです。

他施設からの注目

このプロジェクトの成功は、他の保護施設や水族館からも注目を浴び、多くの問い合わせが寄せられています。Mystic Aquariumのスタッフ、Claire Bolster氏は「新しいハーネスがシャーロットにとって非常に良い結果をもたらしています」とコメントし、さらなる重りの追加を計画しています。

まとめ

このように、3Dプリント技術は単なる工業用途に留まらず、動物福祉や環境保護の分野でも重要な役割を果たすことが明らかになりました。株式会社システムクリエイトは、今後もこの技術を駆使し、さらなるイノベーションに挑むことで社会に貢献していくことを目指しています。詳細については、公式ウェブサイトをご覧ください。