山中漆器の新発見
2021-09-07 10:00:16
ドバイ博覧会で注目の山中漆器「うつろいカップ」の魅力
日本館VIP記念品に選ばれた「うつろいカップ」の魅力
2020年、ドバイ国際博覧会日本館のVIP記念品に、石川県加賀市の有限会社浅田漆器工芸が手掛ける「うつろいカップ」が選ばれるという快挙を遂げました。この喜びは、山中の漆器技術が世界に広がる大きな一歩となります。
「うつろいカップ」は、その名の通り、四季の移ろいをテーマにデザインされています。山中で誕生したこのカップは、挽物ろくろ技術と美しい塗りを活用した傑作で、外側には華やかなメタリック塗装が施されています。薄挽き仕上げは、漆器特有の柔らかさを感じさせ、優れた体験を提供します。デザインには、山中漆器の伝統と現代の技術を融合させた、こだわりが詰まっています。
トレンドを意識した新しい漆芸
石川県の漆器産地には、木地の山中、塗りの輪島、蒔絵の金沢があげられますが、山中はその中でも特にろくろ技術に秀でています。しかし、従来の黒や朱の漆だけでは市場での存在感が薄れてきており、新しいデザインが求められる時代に突入しました。
この課題を解決するため、有限会社浅田漆器工芸は2017年秋から新たな商品の開発をスタートしました。今の時代に合った鮮やかな色合い、そして伝統的な塗りの美しさを、スタイリッシュなデザインに融合させた商品が次々と誕生しています。特に「うつろいカップ」は、S、M、Lの3サイズを展開しており、マトリョーシカのように入れ子式に収納できるので、使い勝手も抜群です。アウトドアや旅行にもピッタリのコンパクトなアイテムとなっています。
知名度向上に向けた取り組み
山中の漆器技術は国内では十分に知られていますが、国際的な知名度はまだまだです。そこで今後、有限会社浅田漆器工芸は積極的な情報発信と商品開発を進め、より多くの国で山中の工芸品が評価されるよう努めていく方針です。これにより、日本の伝統工芸に新しい息吹を吹き込むことが期待されています。
このように、「うつろいカップ」はただの飲み物を楽しむための器ではなく、職人の熱意や山中漆器の美しさを体現した、文化的意味も兼ね備えた存在となっています。今後の展開にもぜひ目を向けたいと思います。
「うつろいカップ」は、様々な受賞歴を持ち、2018年には「プレミアム石川ブランド」として認定され、2019年には「グッドデザイン賞」をも受賞。2021年のドバイ博覧会でも高い評価を受けるなど、その実力が認められています。
石川県の原風景を思わせる美しいデザインと、伝統技術の再創造が一つになった「うつろいカップ」。今後、国際舞台でもその魅力が広がることを期待しています。
会社情報
- 会社名
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有限会社浅田漆器工芸
- 住所
- 石川県加賀市山中温泉菅谷町ハ215
- 電話番号
-
0761-78-4200