岐阜県高山で進行中の宿泊業DX
岐阜県は宿泊業のデジタル化に向けて、2025年11月19日に高山市の「ひだホテルプラザ」で高山ブロック会議を開催しました。この会議には、旅館、ホテル、企業関係者を含む47名が参加し、デジタル技術を使った“現場起点のDX”がテーマでした。
デジタル化の現場からの声
会議ではグループコミュニケーションアプリ「BAND」を用いた実演や意見交換が行われ、宿泊業の情報共有が進む実績が報告されました。この日は下呂、東濃、中濃と続いたDX説明会の高山ブロックにおいて6回目の開催となり、参加者たちは高山地域の特有の課題を共有経しました。
高山ならではの懸念事項
参加者たちから寄せられた具体的な意見の中には、冬季の雪害や交通の混乱、クマ出没情報の迅速な共有の必要性などが挙げられました。多拠点での施設運営や外国人スタッフの増加に伴う連絡の複雑さも問題視されており、LINEアプリでは既読管理や情報整理が難しいことがストレスとなっていました。
このようなニーズに応えるため、BANDは一斉配信機能や既読確認、権限管理を導入し、マニュアルや館内ルールをひとまとめにすることで運用改善を図ろうとしています。特に「クマ出没」に関する緊急連絡機能では、参加者から高い評価が寄せられ、「夜勤スタッフにも確実に届く仕組みが必要」といった意見があり、安全面での強化の重要性が浮き彫りとなりました。
参加型ワークショップ形式の導入
今回の会議では、参加者が自分のスマートフォンを使用して操作する実践形式が新たに導入されました。出欠確認、クマ出没を想定した緊急連絡テスト、カレンダーの登録、アンケートへの回答、リアクションや通知設定の確認など、より現場に即した内容が実施されました。
参加者からは、「通知の届き方が分かって安心」「誰でも使える」といった声が続出し、実際の業務に役立つ手応えを感じてもらえました。
組合の意見
岐阜県旅館ホテル生活衛生同業組合の安達氏は、「高山は観光動線が広く、冬季の雪害もあるため、確実な連絡体制の構築が求められます。BANDのようなツールは情報を整理し、運用にとってとても頼もしい」と話しました。また、ぐる撮る代表の舩戸氏は、地域ごとに異なる課題を意識しつつ、現場の体感に基づいたDXの重要性を強調しました。
目指すモデルケースの構築
今後、県内各地で積み上げた課題と成功体験を基に、モデル施設を選定し、旅館業とDXの共通の指標を整備することが検討されています。また、他県との連携を視野に入れ、全国にこの取り組みを展開していく計画です。高山で得た現場の声は、今後の改善のための重要なデータとして活かされることになるでしょう。
このように、岐阜県高山での宿泊業DXは進行中です。地域の特性を考慮した現場からの声が、今後の宿泊業の未来を左右する鍵となることでしょう。