日本のスマホ料金、比較的安価な理由
2025年4月、株式会社ICT総研が発表した「スマートフォン料金の海外比較に関する調査」によれば、日本のスマートフォン料金は、データ容量20GB以下の料金プランにおいて、調査対象6カ国中で最もリーズナブルな水準を維持しています。これを受けて、その背景や要因、そして今後の見通しについて探ってみたいと思います。
日本の料金水準の現状
調査によると、2024年12月の時点で、データ容量2GBの月額平均料金は2,770円、5GBで2,971円、20GBで3,428円、無制限プランでは6,114円となっています。特に、日本の2GBプランの料金は1,312円で、これは6カ国中で最も安価です。ただし、データ容量が5GBや20GBになると、フランスが最安となりますが、日本は依然として平均よりも低い料金設定を維持している状況です。
一方で、データ容量無制限の場合は、日本の料金が6,372円となり、6カ国平均の6,114円を上回るため、その点については注意が必要です。
日本の料金低下の歴史
2011年以降、日本のスマホ料金は急激に変化しました。特に2021年に、政府の要請を受けて移動体通信事業者(MNO)による料金引き下げが実施されました。この背景には、オンライン専用プランや楽天モバイルの登場が影響を与えたとされています。これらの新しい料金プランがプロバイダー間の競争を促進し、消費者にとって有利な環境を生み出しています。
2020年から2021年にかけては、料金の大幅な低下が見られ、現在の安価な水準を維持する礎となりました。具体的には、楽天モバイルのMNOサービスや、NTTドコモの「ahamo」、auの「povo」、ソフトバンクの「LINEMO」といった新規プランの登場が、日本の料金低下を加速させました。
他国との比較
他国に目を向けると、アメリカの料金水準が際立って高くなる一因として、購買力平価の違いが考えられます。各国の料金を日本円に換算すると、アメリカの料金が特に高額になることが明らかです。一方で、日本の通信品質は必ずしも最高水準ではないものの、一定のサービスレベルを維持している点も評価されています。
今後の展望
日本の大手キャリアは、通信品質向上に注力していますが、今後の設備投資の可否が懸念されます。人件費や資材費が高騰している中、5Gから6Gへとシフトする際に、果たしてどの程度の投資が可能になるのかが鍵となるでしょう。
ICT総研では、携帯電話料金やネットワーク品質の将来展望を研究するつもりです。国内外における料金の比較やサービスの改良が進む中で、日本のスマホ料金が今後どのように推移するのか、注視していく必要があります。
まとめ
日本のスマートフォン料金は、国際的に見ても非常に安価な水準を維持しています。しかし、通信品質の維持や未来の技術の進化に向けた投資が求められており、この課題をクリアできるかが、今後の焦点となりそうです。ICT総研は引き続き、この分野において最新の調査を行い、日本の携帯市場の動向を追っていく予定です。