香川県東かがわ市で進化するスマート物流システム
香川県東かがわ市で、地域の課題を解決するための新しいスマート物流システムの実証実験が行われました。これは環境省が推進する「運輸部門の脱炭素化に向けた次世代型物流促進事業」の一環であり、株式会社NEXT DELIVERY、キヤノンマーケティングジャパン株式会社、セイノーホールディングス株式会社、株式会社電通西日本が協力して実施しました。
この実証実験は、2025年2月6日に福栄コミュニティセンターから五名コミュニティセンターまでの間で行われました。東かがわ市は、昭和40年以降人口が減少し続け、2045年には人口が16000人程度にまで減少すると予想されています。人口減少は多くの地域課題を引き起こしており、特に高齢者にとっての生活利便性の維持が求められています。
今回の実証で注目されたのは、物流専用ドローン“AirTruck”を用いた配送システムです。このシステムは、セイノーHDとNEXT DELIVERYが開発した新スマート物流「SkyHub®」を活用しており、ドローン配送と地上輸送を組み合わせた革新的な取り組みです。社会実装に向けての課題発見を目的とし、高齢者や買い物が困難な人々を支援することを狙いとしています。
具体的な実施内容としては、福栄コミュニティセンターで集約した荷物をドローンで運び、五名コミュニティセンターまで届けるという流れが組まれました。約7kmの距離をドローンが約17分で飛行し、住民への配送を行いました。その際、ダミーの医薬品も合わせて届けられ、地域住民からは「災害時にもドローンを活用してほしい」との声が寄せられました。
この実証実験は、物流業界が直面している人手不足や採算性の問題を背景に、過疎地域においても効率よく配送を行うための施策です。特に五名地域では、過去に台風による孤立が問題視されており、物流網の確保が求められてきました。今後、ドローン配送を組み込むことで、より持続可能な物流手段を地域に根付かせることを目指しています。
また、本実証実験の結果からは、平時だけでなく災害時にもスムーズに物流を流通させるためのデータ収集が行われました。これにより、地域課題の解決や高齢者支援のための取り組みをさらに強化することが期待できます。
NEXT DELIVERYは、今後も地域の理解を得ながら、高度な技術を活用した物流システムの社会実装に向けて検討を続けます。この新スマート物流「SkyHub®」は、住民の生活の質を向上させるための重要な取り組みとなるでしょう。
参考に、今回の実証実験を通じて収集したデータは、今後の物流改革や地域活性化に向けた重要な材料となり、自治体や企業と連携しながら地域全体の発展に寄与することが期待されています。