成田空港での鉄道共同輸送サービス実証実験
成田国際空港株式会社は、環境に優しい鉄道による貨物輸送を推進する新たな取り組みとして、鉄道共同輸送サービス『RAIL to NARITA LCLサービス』の実証実験を開始しました。このプロジェクトは、日本貨物鉄道株式会社(JR貨物)や日本フレートライナー株式会社(日本FL)と連携し、関西から成田間での輸送をスムーズに行うことを目指しています。
背景と課題
現在、関西地域で生産された製品を成田空港から輸出する際には、主にトラックによる輸送が行われています。しかし、長距離トラック輸送にはCO2排出量の増加や、トラックドライバーの不足という問題があります。一方、鉄道輸送は一度に多くの貨物を運ぶことができ、環境負荷も少ないため、より持続可能な輸送手段として注目されています。しかし、現行の鉄道輸送はコンテナ単位での契約が一般的であり、特に航空貨物は重量が軽く高価値の製品が多いため、この方法では利用が難しい状況が続いていました。
実証実験の内容
このたび、成田国際空港はプラットフォーマーとしての役割を果たし、小ロット単位(パレット単位)での鉄道共同輸送サービスを実現するために、協議会を立ち上げました。この新しいサービスの実証実験は、2024年8月から2025年2月の間に行われ、関西地区から成田空港周辺のフォワーダー施設へ一貫輸送が可能となります。
特に注目すべき点は、内国貨物と外国貨物の両方に対応している点です。具体的には、利用料金が1パレットあたり内国貨物5,000円(税抜)、外国貨物5,000円(非課税)に設定されており、補助金を活用することで、より多くの利用者にとって実行可能な価格で提供される予定です。
モーダルシフトの推進
国土交通省もこの実証実験を後押ししており、令和6年度の「モーダルシフト等推進事業費補助金」が交付されることが決まっています。これにより、実証実験を通じて、輸送の課題やニーズを洗い出し、2025年度からの本格運用を目指すことが期待されています。
未来へのステップ
『新しい成田空港』構想に基づき、成田空港は航空貨物と貨物鉄道輸送をシームレスに連携させる仕組みを整備し、さらなる環境保護と効率性向上に貢献していきます。この実証実験はその第一歩であり、将来的には荷主やフォワーダーから選ばれる施策を実施し、成田空港を航空物流の重要拠点として育成することを目指しています。
この取り組みは、運送業界における新たな可能性を開く鍵となるでしょう。環境に配慮した鉄道輸送が一般的になることで、より持続可能な社会づくりに向けた影響を与えることが期待されます。