ispace EUROPEが初の月面探査用マイクロローバーを組立完了

ispace EUROPEが初のマイクロローバーを完成

株式会社ispace（東京都中央区）の欧州法人であるispace EUROPEが、ルクセンブルクで月面探査用のマイクロローバー「TENACIOUS（テネシアス）」の組立を完了したことを発表しました。このローバーは、2024年冬に予定される「HAKUTO-R」ミッション2にて月面に送り込まれる予定です。

組立の意義と背景

マイクロローバーが完成した際は、関係者が集まり、大規模な発表会が行われました。出席者には、ルクセンブルクのデレス経済・中小企業・エネルギー・観光大臣や在ルクセンブルク日本国大使館の大使、さらにはルクセンブルク宇宙機関の関係者も名を連ね、国際的な連携を象徴する場となりました。

本プロジェクトは、ルクセンブルクの宇宙資源の産業化を目指すLuxIMPULSEプログラムの一環として進められ、joint ventureとしてEUROPEがEUとの関係を強化しつつ、宇宙における新たな可能性を追求しています。

「TENACIOUS」ローバーの特徴

「TENACIOUS」は、全長54cm、幅31.5cm、高さ26cm、重さ約5kgというサイズで、月面に適した特性を有しています。耐久性を確保するために、CFRP（炭素繊維複合材）が使用され、振動にも耐えられる構造を持っています。さらに、高解像度カメラが搭載されており、月面の映像を撮影することが可能です。これにより、科学データの取得にも貢献することが期待されています。

ミッション2とその意義

「HAKUTO-R」ミッション2では、RESILIENCEランダーにローバーが搭載され、フロリダ州からSpaceX社のFalcon 9により打ち上げられます。月面に着陸後、TENACIOUSは自走して探査を行うことになります。このミッションは、NASAのアルテミス計画に寄与することを目的としており、月探査という新たな挑戦において注目を集めています。

ルクセンブルクの宇宙資源開発

ルクセンブルクは、すでに宇宙資源の商業化に向けた法整備を進めており、ispaceとの提携はその象徴的な事例といえるでしょう。おそらく、「TENACIOUS」が月面資源の探査や採取に成功すれば、ルクセンブルクの宇宙政策の方向性にも大きな影響を与えると考えられます。ルクセンブルクを宇宙資源のパイオニアとして確立するため、今後も国内外の企業との連携を深めていくことが求められています。

将来への展望

今冬に実施されるミッション2を控え、ispaceは着実に準備を進めています。CEOの袴田武史氏は、米国法人によるミッション3や、日本で進行中の「シリーズ3ランダー」開発についても触れ、さらなる展開に意欲を見せています。国際協力のもと、月市場におけるビジネスの拡大が期待される中、TENACIOUSは、その先駆けとなるでしょう。日本とルクセンブルクが共同で歩むこの道は、次世代の宇宙探査ビジネスの象徴的な成果となるでしょう。