分散型IoTプラットフォームで実現する非接触経済の未来

新型コロナウイルスの影響で、私たちの日常生活は大きく変わりました。その中でも特に注目されるのが「非接触」というキーワードです。接触を避けるための工夫や技術は、これまでの消費行動を根本から変革しつつあります。特にアジアパシフィック地域では、非接触経済の市場が2025年までに2倍に拡大する見込みです。これに伴い、さまざまな業界で非接触方式へのシフトが進んでいます。

非接触ニーズに応える分散型IoTプラットフォーム

非接触でありながら、利便性とセキュリティを両立させるためには、テクノロジーの活用が必要です。この点で、分散型IDプラットフォーム「UNiD」を提供するCollaboGate Japanと、IoT機器ソフトウェア開発に強みを持つTSSR社が提携し、ルネサスのMCUを利用した分散型IoTプラットフォームを構築する取り組みが始まりました。

現在の取り組みでは、金融や医療、地方自治体、さらにはホテルやオフィス、工場における本人確認を自動化する「スマート・コンシェルジュ」のプロトタイプが開発されています。このシステムでは、ユーザーの証明情報をモバイル・ウォレットに発行し、IoT機器に送信することで、スムーズに利用者を認証します。ここで重要なのは、非接触かつ安全なアクセスが実現されることです。

IoT機器のセキュリティ課題

IoT機器はハッキングや不正アクセスのリスクにさらされています。従来のPKI方式では、手動で証明書を管理する必要があり、コストや運用が大きな負担とされていました。そこで、分散型IDのメカニズムを用いることで、IoT機器自体がデータの正しさを自律的に確認できる仕組みが導入されました。これにより、セキュリティが高まり、運用コストが削減されることが期待されています。

プライバシーを重視したデータ取引

個人のプライバシー保護に対する意識が高まる中、分散型IoTプラットフォームは、個人情報を必要とせずにサービス提供を可能としています。この新しい仕組みでは、個人が自身の情報をコントロールでき、同意に基づいてデータの取引が安全に行われます。

各社からのコメント

このプロジェクトについて、CollaboGateの三井代表取締役は、非接触方式へのシフトが新しい働き方やスマートシティに寄与することを期待しています。また、テセラ・テクノロジーの阿部社長は、安全で検証可能なデータ通信が実現されることで、デジタルトランスフォーメーションの推進に寄与することを期待しています。ルネサスの伊藤部長も、MCU技術がプラットフォームの発展に貢献できることを嬉しく思っています。