EC市場の不正注文増加が懸念される中、Spider Labsが転売対策を発表

EC市場における不正注文の深刻な現状

ブラックフライデーや年末商戦を迎えるにあたり、株式会社Spider Labsは、EC市場における不正注文の最新動向を発表しました。EC業界では特に、転売目的での不正注文が増加しており、その損失額は2025年度までに前年比78億円増、合計1,836億円に達すると予測されています。この数値は、D2C市場が拡大する中での深刻な問題を示しています。

不正手口の多様化と進化

Spider Labsの分析によると、D2C（Direct to Consumer）市場における不正行為は、BotやVPN、ジオマスキング、さらにはリスト型転売といった、多様で高度な技術を利用して行われています。これらの手法は年々進化しており、正規の消費者が商品を購入する機会が奪われている実情があります。

特に注目すべきは、2025年上期に、「Spider AF 転売対策」を導入した企業157社で発見された、1日平均1,067件、不正注文が流入しているというデータです。繁忙期を迎えた際に注文数が急増することから、チェック体制が逼迫し、不正が紛れ込みやすくなることが懸念されています。

ブラックフライデー週の特徴

毎年11月下旬に訪れるブラックフライデー週は、EC事業者にとって特に重要な時期です。この時期は様々な商品が売上を伸ばすトリガーの役割を果たしており、同時に不正注文が増加する要因ともなっています。

Spider Labsでは、ブラックフライデー期間中に不正が紛れ込むリスクも高まるとして、事業者への“発送前チェック”の必要性を強調しています。消費者が正当な価格で商品を手に入れられなくなり、ブランドの信頼性が損なわれるリスクもあるため、事業者はこの時期の対策を怠らないことが求められます。

技術型不正の拡大と新たな手口

Spider Labsの研究では、特に技術型の不正が増加していることがわかります。IP制限や人工知能を用いたトリックなど、従来の対策が通用しない手法が登場しています。また、最近のトレンドとしては、SNSを利用した「闇バイト型」の不正注文も観察されています。これらの手法は一般ユーザーに紛れやすく、重複検知も難しいため、対策が一層難しくなっています。

Spider Labsの取り組み

株式会社Spider Labsの代表取締役、大月聡子氏は「ブラックフライデー・年末商戦は企業にとって大きな売上のチャンスであると同時に、転売ヤーにとっても狙われやすい期間である。正規のファンが商品を購入できない場合、ブランドの価値が損なわれる」と述べています。

そこで、Spider Labsは不正注文をリアルタイムで検知する「Spider AF 転売対策」ツールを提供し、発注段階での適切な対策を講じています。このツールにより、複合的なロジックで行動を解析し、不正な動きを素早く視覚化することが可能です。実際にこのツールを導入した企業では、不正注文がピーク時に比べ約三分の一減少した事例も報告されています。