新日本海フェリー新造船「けやき」に放射冷却素材「Radi-Cool」を導入
日本空港ビルデング株式会社は、新日本海フェリー株式会社と連携し、2025年12月に新しい航路で就航を予定している新造船「けやき」に、放射冷却素材「Radi-Cool」を導入することを発表しました。これは、室内温度の低下と共に環境への負荷を軽減することを目的としており、従来にはない先進的な取り組みとして注目されています。
「Radi-Cool」は太陽光を反射すると同時に、自然の放射冷却を活用して室内の熱を発散することが可能な地球環境に優しい素材です。この技術を活用することにより、船舶内のエネルギー使用を抑えながら快適な温度を維持できます。新造船「けやき」は、特に直射日光にさらされる部分の効率的な冷却が求められ、先進的な技術が活かされる場となります。
今年の冬季には、新日本海フェリーが運航する既存の4隻の船「はまゆう」、「それいゆ」、「らべんだあ」、「あざれあ」にも「Radi-Cool」の塗料と透明フィルムが導入されました。これにより、船内のスポーツルーム、BBQルーム、操舵室での温度検証が行われ、施工前後で温度が大幅に低下することが確認されました。この成功が、新造船「けやき」への導入に繋がったのです。
近年、造船業界は多くの挑戦に直面しています。新造船の需要は低迷しており、中国や韓国を中心とした造船所での大規模な再編成が進行しています。このような厳しい競争環境の中で、環境問題への取り組みが各造船所の競争力を左右する重要な要素となりつつあります。特に、船舶建造時に発生する揮発性有機化合物(VOC)や航行中に排出される温室効果ガス(GHG)の削減は、企業の成長戦略として無視できない課題です。
日本空港ビルデング株式会社と新日本海フェリー株式会社は、両社の技術を融合させることで、船舶業界の未来を見据えた取り組みを続けていく意向を示しています。今後はお客様や従業員の快適性を一層高めると同時に、環境へ与える影響の低減に貢献するための研究を進めていくそうです。
新造船「けやき」が就航する2025年、放射冷却技術の成果がどのように発揮されるのか、期待が高まります。今後もエコロジーと快適性を両立させた最先端の技術に注目していきたいものですね。