AI投資の効果を深く探る: Snowflake調査が示す生成AIの実力
2024年4月15日、米国のAIデータクラウド企業、Snowflakeは、生成AIの投資対効果に関する調査結果を発表しました。この調査では、9カ国・約1,900人のビジネス及びITリーダーが対象とされており、結果は企業がAIへどのように取り組んでいるのか、またその成果をどのように計測しているかを浮き彫りにしています。
調査によると、全回答者の92%がすでにAIの投資効果を実感しており、特にコスト削減や収益拡大により、投資額1ドルにつき1.41ドルのリターンを実現していると報告されました。この数値はAIが企業活動に与える優れた影響を示しており、将来的なAIへの投資意欲が高まっていることを反映しています。実際、98%の回答者が2025年にはAI投資をさらに強化したいと考えています。
一方で、データのAI対応に関しては58%のリーダーが依然として課題に感じていると述べています。AIの成功に向けて、堅牢なデータ基盤が必要だと認識されているものの、多くの企業が「AIに適したデータの整備方法」に苦労しているのが現実です。
国ごとのAI成熟度と課題
調査結果は、国際的なAIの取り組みの成熟度に大きな差があることも示しています。特にオーストラリア・ニュージーランド地域では、AI投資の投資対効果は44%と高い数値が示されています。一方で、カナダの42%、フランス31%、ドイツ34%と続き、日本は30%という結果で、AIへのアプローチが慎重であることが明らかとなりました。
日本の企業は生成AIのユースケースを模索し始めたばかりであり、「まだAIユースケースを模索し始めた」との回答が最も高いのが日本(49%)で、グローバル平均は36%とされています。これは、日本の組織がAIに対してより時間をかけ、慎重にアプローチしていることを示唆しています。
日本では、AIの戦略として最も重視されるのがコスト削減(43%)ですが、カスタマーサービスや財務パフォーマンスに対するAIの取り組みの割合は低い傾向にあります。こうした背景が、生成AI投資の効果を相対的に低く見せている要因かもしれません。
データガバナンスの重要性
調査でも指摘されている通り、多くの企業がデータに関する課題を抱えており、特に「データサイロの解消」や「データ品質の測定、モニタリング」といったテーマが挙げられています。これらの課題を克服するためには、統合データプラットフォームが必要不可欠であるとされています。
多くの回答者は、AI活用において自社データの重要性を認識しており、80%が自社データのファインチューニングを行っていると述べています。また71%の回答者は、効果的なモデルのトレーニングには数テラバイトのデータが必須であると認識しています。ただし、データをAIに適合させることが困難であると感じる人が多いのも事実です。
組織の戦略的選択とそのプレッシャー
調査では、ユースケースの選択や資源の有効活用に関するプレッシャーの高まりも指摘されています。調査に参加したアーリーアダプターの71%が、活用したいユースケースが用意できる資金を上回っていると回答しており、54%が適切なユースケースを選択することの難しさを実感しているとのことです。このような状況は、事業に多くのAI機会が存在する一方で、適切な判断を下すためのプレッシャーが高まっていることを示しています。
この調査結果からは、AIによる投資効果を最大化するためには、データの整備とAI戦略の最適化が不可欠であることがわかります。今後、企業がどのようにこの課題に取り組み、どのような成果を上げていくのか注目が集まります。雪に覆われた氷河の下から温かな春が訪れるように、生成AIの活用が進むことで各組織のビジネスにおける新たな光が見えてくることを期待しています。