日本企業の出張管理とその課題
近年、日本企業における海外出張の需要が高まっています。特にアジア太平洋地域への出張が増加し、企業は海外での市場開拓を進めています。この状況で出張管理はどうなっているのでしょうか。
出張予算の増加傾向
株式会社 日本旅行・アメリカン エキスプレスが発表した調査によると、2011年から2012年にかけて、日本企業の出張予算はわずかに増加しています。約29%の企業は出張予算を増やす意向を示しており、これは前年の数字よりも3ポイント上昇した結果です。特にアジア太平洋地域への出張が増加する傾向にあり、回答者のほぼ半数がその予算を拡大すると答えています。
竹村章美社長は、国内市場が成熟する中で、企業は海外に新たなビジネスチャンスを求めていると指摘しています。円高も海外市場開拓の後押しをしています。今後、出張費用は増加が見込まれ、企業は出張管理の見直しが必要です。
限定的な出張管理業務
しかし、日本企業の出張管理にはいまだ課題が残っています。調査によると、出張管理業務の範囲は限定的であり、多くの企業が出張経費を管理する際に重要な出張前プロセスを考慮していないことがわかりました。出張経費の精算などの経理面での管理が重視されている一方、出張前の承認や規程管理の重要性は認識されていない状況です。
出張規程が適用されている項目として最も多いのは日当(92%)、次に出張承認プロセス(91%)、航空券の手配(81%)が上位にあがります。しかし、宿泊手配やMICEに関する規程がある企業はそれぞれ69%、31%に過ぎません。これでは出張業務の全体像を把握するのは難しいです。
複雑な出張管理手法
さらに、日本企業の出張管理は非常に複雑で、特に出張費用が多額になる企業ではこの傾向が顕著です。多くの企業が利用する旅行会社が複数あったり、依頼する予約ルートが分散しているため、出張費用の全貌を把握し、戦略的に合理化を進めるのが難しくなっています。出張管理責任者がいる企業は35%に留まり、部門ごとに出張経費が管理されている状況が見受けられます。
出張プログラムの集中的な管理や透明性を高めることが、今後の大きな課題と言えるでしょう。出張コストの管理を担当する企業が約78%である一方、航空費やホテル関連のデータを受け取っている企業はそれぞれ48%、32%と、コストの全容を把握できていない可能性があります。
最適化への一歩
調査の結果から、日本企業には出張予算の大幅な節減が期待できることが示唆されています。適切な旅行会社とのパートナーシップを結ぶことで、出張管理が効率化され、コスト削減の実現へとつながる可能性があります。信頼できる旅行会社との契約を持つ企業は、法人契約の運賃や宿泊料金が優遇されることが多いからです。
企業が出張業務を見直し、経費の最適化に取り組むことが求められています。竹村社長は「出張は企業にとって重要な要素であり、出張管理の専門知識を活かして支援を行う考えです」と述べています。
結論
現在の経済状況を考慮すると、日本企業において出張の重要性は一層高まっていくと予測されます。出張管理を最適化するためには、戦略的な見直しと実行が不可欠です。調査結果を活かし、より良い出張管理の体制を整えていくことが必要です。
この調査は、今年の出張動向を把握するための貴重なデータであり、今後のビジネスに大いに役立つ情報と言えるでしょう。出張管理を見直し、全体的なコストの合理化を図ることで、企業は新たな可能性を切り拓くことができるのです。