下水道の革新技術
2023-09-19 09:00:41
下水道の未来を見据えた新しい水位モニタリングシステムの開発
近年、下水道管路の老朽化や局所的な豪雨による内水氾濫が問題視されています。これに対処するため、株式会社奥村組と株式会社コアシステムジャパンが共同で新しい水位モニタリングシステムを開発しました。このシステムは、下水道管路内の水位を広域で効率的に取得・管理できることを目的としています。
背景
下水道の老朽化は機能不全や内水氾濫のリスクを高める要因となっています。これまでのモニタリング技術は設置コストが高く、多くの装置が必要とされるため、広域的なデータ取得が難しい状況でした。また、老朽化した管路からの不明水(地下水などの浸入)の影響で、処理施設の能力を超える可能性があるため、早期の対応が求められます。
システムの概要
新しく開発された水位モニタリングシステムは、以下の3つの工夫によって実現されています。
1. センサ技術
従来の電気式水位計に代わり、腐食に強く耐雷性に優れた光ファイバを利用した「ヘテロコア光ファイバ水位計」を採用。水圧を感知して水位を測定するこの技術は、低コストで多くのセンサを設置することが可能です。
2. 通信技術
従来のLTE通信によるリアルタイムデータ取得に代わり、低消費電力のLoRa通信を導入しました。これにより、電池で稼働でき、通信費もかからないため、効率的なデータ取得が可能になります。また、主要なマンホールに設置した機器からリアルタイムで状況を把握することができます。
3. 水位計の固定治具
従来はサイズが大きく設置に時間がかかる水位計に代わり、コンパクトな「ヘテロコア光ファイバ水位計」を使用。同時に簡易な固定治具を採用することで、設置時間を大幅に削減し、効率化を図りました。
適用場面
このシステムは、老朽化した下水道管路の管理や、豪雨時における内水氾濫への対応など、多くの場面で役立ちます。例えば、リアルタイムで得られる水位データを基に、適切な修繕や改築計画を立てることができます。さらに、豪雨時には事前のデータ分析により避難や応急対応を検討することも可能です。
今後の展望
今後、自治体などにおける下水道管路への運用を進め、その効果を検証する予定です。また、運用を通じて得た知識を基に機器の改良も行い、さらなる機能向上を目指します。
この新しい水位モニタリングシステムは、下水道の安定的な運営と維持管理を支える重要な技術となるでしょう。
会社情報
- 会社名
-
株式会社 奥村組
- 住所
- 大阪府大阪市阿倍野区松崎町二丁目2番2号
- 電話番号
-
06-6621-1101