英国のNESTがIFMインベスターズと戦略的提携
先日、英国最大の年金基金であるNEST(National Employment Savings Trust)が、プライベート・マーケットでの運用を強化するため、IFMインベスターズへの株主グループに参加することが発表されました。この提携は、NESTがIFMの親会社であるインダストリー・スーパー・ホールディングスの株式の10%を取得し、共同で持続可能な投資を行うという形で進められています。
提携の背景と両者の目的
NESTは、英国で約1,370万人の加入者に480億ポンド以上の退職資金を運用しています。一方、IFMインベスターズはオーストラリアの複数の年金基金が株主となっている運用会社で、プライベート・マーケットに特化した運用やインフラ投資で評価を得ています。
今回の合意は、働く人々の退職資金の保護と成長を目的としたものであり、両者のビジョンが一致していることから、新たな投資機会の創出が期待されています。
NESTの投資戦略
NESTは今後12~18か月間に、インフラエクイティ、インフラデット、プライベートエクイティの3つの新しいプライベート・マーケット戦略を立ち上げ、約50億ポンドを投資する計画です。この動きは、IFMの専門知識を活用することで、退職資金の運用成果を向上させることを目指しています。
2027年までにIFMが英国に100億ポンドを投資することを目指した覚書も締結されており、これにより英国のエネルギー構想にも貢献する見込みです。
リスク調整後リターンの向上
提携の具体的な内容としては、NESTはプライベート・マーケットへの配分を17%から30%に引き上げる計画です。IFMはこれまでに得た運用能力と専門知識をNESTと共有し、加入者に対するリターンの向上を目指します。
NESTとIFMの提携は、退職資金に対する戦略的アプローチを深化させ、先進的な投資選択肢を提供することに寄与します。ブレンダン・マカフィティ会長は、この提携によって「全ての年金貯蓄者が手に入れるべき投資機会が増える」と語りました。
IFMの国際的な影響力
IFMインベスターズのCEOデイビッド・ニールは、今回の提携により世界中の新たな投資機会を追求できるようになると強調。特に英国市場への進出は、オーストラリアの年金基金にとって、リスク調整後のリターンを増やすための重要な一歩となります。これにより、NESTの加入者も英国市場の優れた投資案件から恩恵を受けることができるでしょう。
結論
NESTとIFMの提携は、単なる投資の枠を超え、働く人々の退職資金を守るための新しい道を切り開くものと期待されます。プライベート・マーケットへの投資戦略の強化は、加入者にとってより良い未来に繋がるでしょう。両者が持つ強力なパートナーシップは、今後の成長に向けた重要な基盤となることが予想されます。