ピーペックの初出展とその意義
2025年9月10日から12日にかけて幕張メッセで開催される「第7回 健康経営EXPO[秋]」。ここに初めて出展するのが、東京都世田谷区に拠点を置く一般社団法人ピーペックです。代表理事の宿野部 武志氏が提唱する「テンポ経営」は、疾患やライフイベントを抱えながらも働く人々を支援する新しい経営理念であり、今回はその具体的な内容と意義を紹介する場となります。
「病気があっても大丈夫」というビジョン
ピーペックの目的は「病気があっても大丈夫」と言える社会を実現すること。近年、介護や病気、育児を抱えながら働く人が増加し、その両立を支援することが企業にとって喫緊の課題になっています。総務省の調査によれば、介護や看護を理由に離職する人は年間約10万人に達しています。また、就労者の約3人に1人が何らかの疾患を抱えているというデータもあり、共働き世帯の増加と相まって、柔軟な働き方の需要が従来以上に求められています。
テンポ経営の特長
「テンポ経営」とは、個々の人が持つ「テンポ」を尊重し、企業と個人のビーイング(生活スタイルや働き方)を一致させることを目指すものです。この経営理念の基盤は、働く人が自身の状態や変化に合わせて最適なタスクにフォーカスできる環境を整えることです。具体的な特徴としては、以下の3つがあります。
1.
瞬間ごとの一致: 個人が自身のテンポやタスクの特性に気付き、常に最適なタスクとの調和を図ること。
2.
働き方の一致: 多様なテンポを持つ人々が共生できる職場環境を整えることで、離職や休暇取得を容易にし続けられること。
3.
生き方の一致: 個人のビジョンと企業の理想が対立しない形で、互いに影響を与えながら成長できる組織を目指す。
多様性を尊重する文化
ピーペックの組織文化は、病気やライフイベントを強みに変えるものです。代表理事の宿野部氏によれば、同社のメンバーの約4割が難病当事者であるにもかかわらず、驚異的な離職率0%を達成しています。この実績をもとに、ピーペックは「テンポ経営」を通じて健康経営を推進する企業との連携を進めているのです。
展示会出展の詳細
「健康経営EXPO」では、テンポ経営の具体的な実装方法やその効果、個別サポートの提供方法などを紹介します。多くの企業がこの新しい理念に興味を持つことで、社員の多様なニーズに答える働き方の実現が期待されます。今後、同社はコンソーシアムを立ち上げ、実践的な知見を共有しながら「テンポ経営」を日本の主要企業によるスタンダードな理念に育て上げることを目指しています。
未来への展望
ピーペックは、3年後に「テンポ経営」に関する白書を発行し、5年以内にその理念を全国の企業に広めることを目指しています。また、日本の幸福度を国際比較でトップ10に押し上げるという壮大なビジョンも掲げています。ついには、国内外で認知されるルール作りが行われ、多様性を尊重した働き方が広がることが期待されます。健康経営の推進において、今後も注目が集まることでしょう。