関西国際空港ターミナル1が新たに生まれ変わる
2025年に開催される大阪・関西万博を前に、関西国際空港のターミナル1が大規模にリニューアルされ、その新しい姿が2023年3月に公開されました。ターミナル1の改修は、世界的な建築設計事務所であるPOPULOUSが7年以上の歳月をかけて手がけ、旅行者に向けた効率性と体験の向上を目指しました。
新たなデザイン理念と商業エリアの充実
POPULOUSのシニアプリンシパル、ブレット・ワイトマン氏は、ターミナル1の再設計における“真の体験型空間の実現”に向けた取り組みを強調しました。リノベーションは、ターミナルの既存インフラを最大限に活かしつつ、商業的な利益を高めるための柔軟な設計が求められました。
新しいターミナル1では、国際線エリアの面積が60%拡張され、商業エリアも大幅に充実。旅客の利便性を向上させるための革新的な店舗レイアウトが採用され、シームレスな手続きが可能となります。
進化する旅客体験と段階的なリノベーション
このプロジェクトは計4段階に分けて行われ、運営を継続しながら進められました。2025年には年間4,000万人以上の旅客が使用すると予測され、現行の2倍に達する見込みです。2022年には第1段階として国内線エリアがオープンし、続けて新国際線エリアが開始されました。2023年12月には第2段階が完了し、商業エリアには6,650平方メートルの店舗と1,130平方メートルの飲食スペースが追加されます。
第3段階の保安検査場の革新
2025年のリニューアルオープンでは、新しい保安検査場が導入され、1時間に4,500人から6,000人の利用者に対応可能なスマートレーンを実装。利用者の流れをリアルタイムで把握し、効率的な誘導を行う独自のシステムが日本初導入されることにより、さらなる快適さが提供されます。
新しく構築された商業エリアでは、国際線の出発と到着エリアをカバーする13の店舗が並び、旅行者は新たな買い物体験を楽しむことができます。
このプロジェクトは、建築デザインの面でも高く評価され、2023年の世界建築フェスティバル賞の未来のプロジェクト部門ではファイナリストに選ばれました。ターミナルの設計は著名な建築家レンゾ・ピアノ氏が担当し、そのユニークな外観と機能性は世界中で称賛されています。
日本らしさを取り入れたデザイン
今回のリノベーションでは、設計リードのジャック加藤氏が、ターミナル内に日本らしさを表現することの重要性を訴え、自然素材の色合いを取り入れることで活気ある空間を創出しました。また、入国審査エリアも開放感を持たせ、旅行の始まりを感動的に演出しています。
関西国際空港は、これからの大阪・関西万博に向けてさらに進化する姿を見せています。空港を通じてつながる人々の体験が、新たな旅のスタートを貴重にすることでしょう。
POPULOUSについて
POPULOUSは、世界中でスポーツやエンターテインメントのための特別な空間をデザインしている建築設計事務所です。東京オリンピックやラスベガスのSphereなど、数多くの著名なプロジェクトに関与してきました。彼らは、建築設計の卓越性を追求し、より良い体験を通して人々をつなげることを目指しています。