世界初のシリコン光回路における光アイソレータ集積技術
京セラ株式会社と東北大学が共同で、シリコン光回路上に新たに光アイソレータを集積する技術を開発しました。この技術は、AIデータセンターなどで求められる高速かつ低消費電力の実現に貢献するものです。
開発の背景
最近、生成AIの台頭やデータ通信量の急増により、通信の高速化と省電力化が求められています。この文脈で、シリコンを基盤としたフォトニクス技術が注目を集めており、特に光回路と電子回路を同じ半導体チップに集積するCPO技術の進展が促されてきました。
光回路では、内部で光が反射し戻ってくる現象が通信品質の低下を招くため、光アイソレータが重要な役割を果たします。しかし、従来、光アイソレータは高温で熱処理を行う必要があり、この過程で他の電子部品に悪影響を与えてしまう恐れがありました。そこで、京セラと東北大学はこの問題を解決するための研究を行ってきました。
新技術の特徴
新たに開発された技術は、局所的なレーザー光による熱処理「レーザーアニール」を用いて、必要な部分だけを高温で加熱することで磁気光学ガーネットを結晶化させる方法です。これにより、周囲の回路や金属電極への影響を抑えつつ、熱処理を行うことが可能となりました。
この手法により、京セラと東北大学は光アイソレータの動作実証にも成功。実験では、信号として進む光と反射して戻る光の出力を比較し、13.6 dBのアイソレーション比を確認。戻り光を約20分の1に低減することができるという結果が得られました。
今後の展開
京セラと東北大学はこれまでも光アイソレータの技術開発を行ってきましたが、今後はこの技術の実用化とさらなる効率向上を目指します。両者は今後の連携により、持続可能な情報社会の実現に寄与する意向を示しています。
論文情報
今回の研究成果は、2026年9月3日に米国電気電子学会の学術誌「IEEE Access」に掲載され、論文タイトルは『Monolithic Magneto-Optical Mach–Zehnder Isolator Using Laser-Annealed Iron Garnet on a Silicon Waveguide』です。著者には、東北大学の研究者たちが名を連ねています。
今回の技術開発は、データ通信インフラの未来を切り拓くものとして、大きな期待が寄せられています。
参考文献