災害対応を革新する浸水解析手法
近年、気候変動の影響により、自然災害が頻発化・激甚化しています。特に水害の被害は、深刻度を増しています。このため、災害発生時には、迅速かつ正確に被害状況を把握することが不可欠です。そんな中、株式会社Spectee(東京都千代田区)と株式会社Synspective(東京都江東区)の2社は、衛星画像とSNS情報を駆使して浸水範囲をより精緻に推定する手法を共同で開発しました。
新たな技術の背景
この新手法は、両社が2025年7月に発表した災害対応の迅速化を目的とした協業の一環として生まれました。Synspectiveは小型SAR衛星「StriX」を開発し、様々な天候、昼夜を問わず広域の地表面を観測してきましたが、特に市街地における局所的な浸水状況を詳細に把握することには課題がありました。
一方、SpecteeはAI技術を活用し、SNSの投稿から浸水地点を特定し、浸水深を解析する能力を持っています。この技術だけでは、SNS投稿の少ない地域では状況把握が難しいため、両社が手を組むことで、その死角を補うことが可能になりました。
開発した手法の概要
1. SAR衛星データの活用
Synspectiveの高頻度な衛星観測によって得られたSARデータを分析し、広域の浸水範囲を抽出します。この情報は、全体的な浸水状況を把握するために非常に役立ちます。
2. SNS情報からの浸水深判別
SpecteeのAI解析技術によって、SNSに投稿された画像や動画、テキストから浸水が発生している地点とその深さを自動判別します。これは、特に現場のピンポイントな状況を把握するのに適しています。
3. データの統合解析
両社のデータを組み合わせることで、浸水範囲を精緻に推定します。SAR衛星データから得られた浸水範囲の境界は、浸水深の推定の基準情報として活用され、さらに地形や降水量情報を考慮することで、より正確な推定が可能になります。
具体的な検証結果
2025年8月、熊本県天草地域での豪雨事例を用いて共同検証が行われました。その結果、SAR衛星データとSNS情報に基づく浸水解析が整合することが確認されました。この手法により、やはり従来の衛星観測だけでは難しかった市街地の浸水状況を見事に補完できることが実証されました。
今後の展望
この新手法により、発災後早期により実態に即した浸水状況の推定が可能になります。自治体の初動対応や避難判断の迅速化、企業のBCP対応、物流・サプライチェーンのリスク検討など、幅広い応用が期待されます。今後は、さらなる豪雨事例のデータ検証を通じて、この技術を安定させ、実用化を進める予定です。
両社の取り組みが、災害対応の新たなスタンダードとなり、より多くの命を救うことに繋がることを期待しています。
企業情報
株式会社Synspective
独自の小型SAR衛星を用いて、地球上の変化を観測する新たなインフラの構築に取り組んでいます。
公式サイト:
Synspective
株式会社Spectee
危機を可視化することをミッションとし、リアルタイムでのリスクの可視化を目指しています。
公式サイト:
Spectee