台湾映画『ニューヨーク協奏曲』上映会レポート
9月25日、水曜日に台北駐日経済文化代表処の台湾文化センターにて、映画『ニューヨーク協奏曲』の上映会およびトークイベントが行われました。このイベントでは、ニューヨークに住む台湾人の生活を描いたオムニバス映画について、観客と関係者が熱く語り合う場となりました。
映画『ニューヨーク協奏曲』は、ビビアン・ソンや香港の人気音楽グループMIRRORのメンバーであるギョン・トウなどが出演し、さまざまなストーリーが三つの異なる視点から紡がれています。この作品を通じて、ニューヨークで生きる台湾人たちのリアルな姿を映し出しています。特に、ユー・シェンイー監督の長編デビュー作として、香港でのロングラン上映を果たし、多くの注目を集めている作品です。
上映会では、ユー・シェンイー監督がオンラインで参加し、藤井道人監督によるトークイベントも開催されました。藤井監督は、映画の中に描かれたニューヨークの人々の息遣いに感銘を受けたと述べ、「この作品は、ユー監督が長年ニューヨークで培った経験から導かれたものだと思います」と語りました。
トークの中で藤井監督は、映画における母国語でない演技の難しさや登場人物のキャラクター設計について質問し、ユー監督は「通訳としての経験も影響している」と答えました。ニューヨークに住む移民たちの実際の姿を、自身の経験を元に描くことができたと語るユー監督の姿勢が印象的でした。
また、藤井監督は、ビビアン・ソンとの繋がりを明かし、彼女の英語の演技が素晴らしかったと称賛しました。ビビアンさんとは台湾で知り合った間柄で、彼女の存在が作品にどれほどの影響を与えたかを語る場面もありました。さらに、ユーロ・シェンイー監督は、ギョン・トウが台湾人を違和感なく演じたことについても感謝の気持ちを述べ、会場は和やかな雰囲気に包まれました。
三つのストーリーが巧みに絡み合って描かれる本作は、ニューヨークの地下鉄という重要な舞台を設定しています。その理由についてユー監督は、「地下鉄はニューヨークの市民にとって、生活の一部であり、多くの感情が交差する場所だから」と説明しました。その視点から、観客に多様な感情を伝える意図があることを強調しました。
ユー監督にとって、この映画のタイトル『ニューヨーク協奏曲』に込めた思いは、「この街は天国でもあり地獄でもある。様々な人が共存する場所だ」とのこと。また、台湾映画全体についても「そこには言葉にできない温かさがある」と述べ、伝統的なヒューマニズムのテーマが普遍的に描かれていることを評価しました。
このように、上映会とトークイベントは大成功を収め、観客との深い交流が生まれる貴重な機会となりました。映画『ニューヨーク協奏曲』は、これからも多くの人々に愛され続けることでしょう。今後の展開にも期待が寄せられています。