学校と学生の意識調査から見えたオンライン試験の導入課題とは？

オンライン試験導入の現状と課題について

近年、教育技術の進展により、オンライン試験が普及している国々が増えています。しかし、日本においては依然としてその導入が遅れています。特に学内試験の分野では、教職員の多くがオンライン試験を未導入または検討すらしていないという実態があります。これは、教育界におけるパラダイムシフトが求められるタイミングでもあります。

調査の目的と方法

Asia ATP Japan SIGは、学校現場におけるオンライン試験の導入状況を明らかにするため、教職員と大学生それぞれに対する意識調査を実施しました。教職員に対しては、103名が参加し、大学生は117名を対象としました。この調査を通じて、オンライン試験導入の背景にある教職員の不安や学生の期待感について探ります。

教職員のオンライン試験に対する意識

調査結果によると、オンライン試験を導入している学校はわずか15.6%で、78.6%の教職員が未導入と回答しました。また、オンライン試験を導入していない教職員の83.3%が、導入検討を全く行っていないとしています。主な理由としては、61.7%が「学校内でシステムが整備されていないため」と答えており、技術的なインフラの整備不足が顕著です。

さらに、オンライン試験に対する不安も大きな要因です。約70%の教職員が「オンライン試験に不安を感じる」としており、特に不正行為の懸念が強いことが伺えます。このような背景から、教職員はオンライン試験の導入には慎重にならざるを得ない状況にあるのです。

学生のオンライン試験に対する期待

一方、学生からの意見は対照的です。調査に参加した117名の大学生の約80%が、何らかの形でオンライン試験を受験した経験があります。特に、自宅での監視なしのオンライン試験が76.6%を占め、その利便性が高く評価されています。学生たちは「移動の手間が省ける」と答え、オンライン試験のメリットと感じている様子がうかがえます。

また、学生の44.5%が今後の試験方法としてオンライン試験を希望しており、この結果は教育現場でのデジタルトランスフォーメーションの必要性を示唆しています。しかしながら、学生もオンライン試験には不安を感じており、「カンニングが増えそう」という意見が54.7%と最も多く挙げられました。このことから、オンライン試験の実施に際しては、信頼性を高めるための対策が求められます。

教職員と学生の意識のギャップ

調査結果として、教職員と学生の意識には明確なギャップが存在しています。教職員は導入に対して慎重で不安を抱えているのに対し、学生は導入を希望し、その利便性を享受したいと望んでいます。このギャップを解消するためには、教育現場でオンライン試験のメリットを理解し、教職員の不正対策に対する懸念を軽減する必要があります。

今後の展望

日本の教育現場がオンライン試験を導入するための課題が明らかになった今、重要なのは、技術的支援やトレーニングを充実させ、教職員の理解を深めることです。さらに、オンライン試験における不正防止策や公平性の確保に関する取り組みを強化し、安心して試験を実施できる環境を整えることも必須です。

今後、Asia ATP Japan SIGはさらにこのような調査を行い、教育界のオンライン試験導入を後押ししていく方針です。教職員と学生の意見を融合させた新しい教育の形を模索することが、より良い学びを提供するために必要不可欠だと考えられます。