AWSとリコー、AIソリューションの連携強化
アマゾン ウェブ サービス ジャパン(AWSジャパン)とリコーが、AI関連ソリューションの創出に向けた連携を一段と強化しました。この取り組みは、リコーが目指すデジタルサービス革命に寄与し、顧客の業務効率化や生産性向上を目的としています。
連携の背景と目的
リコーはデジタルサービス会社への脱皮を進める中で、AWSの先進的なAI技術を活用しています。今回の連携強化は、さまざまな分野で共通のプラットフォーム「RICOH Smart Integration(RSI)」を中心に進められます。このプラットフォームは、アプリケーションのグローバルな展開を可能にし、顧客接点データの収集・分析を通じて顧客への価値提供を向上させることを目的としています。
特にAI分野においては、リコーは生成AI技術を活用し、迅速かつ精度の高いソリューションの提供を目指しています。AIを基盤としたリコー独自の学習モデル(LLM)の研究開発が進められ、顧客のニーズに応じたカスタムソリューションが期待されています。
リコーのAI開発の取り組み
リコーは、80年代からAIの開発に着手し、2015年以降は画像認識や自然言語処理技術の深層学習AIの開発に注力しています。2021年からは顧客の声を分析し、業務の効率化や顧客対応に活かす「仕事のAI」を提供開始しました。労働人口の減少や高齢化が進む中で、AI技術を用いた生産性向上が企業成長には不可欠だと位置づけています。
最近では、AWSが提供するLLM開発支援プログラムを活用し、60億パラメータの日本語に対応したモデルを2023年3月に発表しました。2024年には700億パラメータのモデルを予定しており、より高い性能を持たせることが目標です。この開発においては、コスト削減とエネルギー効率の改善にも成功しています。
業務基盤のクラウドへの移行
リコーは、社内の共通業務基盤をAWSへ移行させることで、運用コストの大幅削減を実現しています。2020年から2022年にかけて行ったプロジェクトでは、基幹システムの80%以上がクラウドに移行され、安全性や快適性も高まっています。
さらにデータ活用を進めるため、リコージャパンではAmazon RedshiftとAmazon QuickSightを導入し、全社員の3分の2がデータ活用を行う環境を構築しました。
デジタル人材の育成
リコーは、デジタル人材の育成にも力を入れています。ビジネスアーキテクトやデータサイエンティストの育成を重視し、2024年度には4,000人の育成目標を達成しました。また、AWSのトレーニングプログラムを活用することで、さらに専門的な知識を持ったスタッフを育成することを目指しています。
結論
リコーとAWSとの連携強化は、AI技術の活用を通じて顧客のニーズに迅速に対応し、ビジネスの成長をサポートすることを目的としています。両社の協力によって、新たなデジタルサービスの開発が加速されるでしょう。今後の展開に注目です。