賃貸住宅管理業界におけるカスハラ対策ガイドラインの発表
公益財団法人日本賃貸住宅管理協会(通称:日管協)は、賃貸住宅管理業界の現状を踏まえ、カスタマーハラスメント(以下、カスハラ)に対する対策を強化するため「カスタマーハラスメント対策ガイドライン」を策定しました。これにより、安心・安全な住生活を提供するための取り組みを一層推進していく考えです。
1. 背景と経緯
賃貸住宅は、国民の約30%が住まう重要な生活基盤です。そのため、賃貸住宅の管理業務は快適な居住環境を保つために欠かせない役割を果たしています。しかし、賃貸住宅管理者は入居者とオーナーという異なる利害を持つ両者の間に立ち、時に板挟みとなり、カスハラが発生する状況が見られます。
日管協は、これまでも『賃貸住宅クレーム・トラブルQ&A Vol.1~3』をリリースし、問題への対処法を提供してきましたが、より具体的にカスハラに対処するために、会員企業向けに実施したアンケート調査によって、業界内におけるカスハラの現状を把握しました。調査には約577件の回答が寄せられ、いくつかの具体例が報告されています。
例えば、入居者から「今すぐに対応しろ」と怒鳴られるケースや、オーナーから不当な要求を受けることなど、深刻な事例が浮き彫りになっています。こうしたケースは、従業員に心理的なストレスを与え、その結果として業務に悪影響を及ぼすことが懸念されています。
2. カスハラ対応ガイドラインの内容
日管協は、調査結果を基に2025年6月を目処に「賃貸住宅管理業版カスタマーハラスメント対策ガイドライン」を発表する予定です。このガイドラインは会員企業に限定して提供され、カスハラ防止のための活動をさらに強化する内容となっています。
内容としては、賃貸住宅管理業界内でのカスハラの実態や、具体的なカスハラ事例、そしてオーナーや入居者に対する場面別の対応方法が示される予定です。また、業界団体として啓発ポスターの作成や、日管協の標準版契約書への条文追加といった施策も検討されています。
3. まとめ
賃貸住宅管理業界は、今後もカスハラ解決に向けて業界全体での取り組みを進め、従業員や入居者が安心して生活できる環境を整える必要があります。日管協は、引き続き健全な賃貸住宅管理を促進し、豊かな国民生活の実現に寄与していくことを目指しています。
もし、このガイドラインに関する詳しい情報やお問合せがあれば、公益財団法人日本賃貸住宅管理協会の本部事務局へご連絡ください。